2007 Fiscal Year Annual Research Report
オステオポンチンを分子標的とした悪性中皮腫の病態解明と治療への応用
Project/Area Number |
19590914
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高橋 和久 Juntendo University, 医学部, 教授 (80245711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮元 秀昭 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (20291669)
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Keywords | 中皮腫 / オステオポンチン / 抗癌剤耐性 |
Research Abstract |
当初の研究計画書ではin vitroの実験は平成20年度に行う予定であったが、臨床検体の収集状況が遅延していることから、平成19年度からin vitroの実験を開始した。まずは、肉腫型中皮腫細胞株であるH28を用い、オステオポンチン(OPN)の発現を確認後、細胞接着試験、細胞遊走試験、細胞増殖試験、アポトーシス関連実験等を行った。H28はOPNとインテグリンavR3受容体を介して強固に結合し、OPNに対する強い細胞遊走、増殖活性を示した。また、OPNはH28と結合することでアポトーシスの阻害効果を示すことも明らかにした。OPNの中皮腫細胞に及ぼす機能調節はインテグリンに結合するFAK(focal adhesion kinase)の活性化を介することも明らかにした。以上のOPNの中皮腫細胞の細胞機能に及ぼす効果はOPNが抗癌剤を調節することを示唆する。この仮説を証明するためにH28にoPNのsiRNAを導入しoPNの発現抑制を試みたがoPNの発現低下は得られなかった。したがって、次にOPNの発現の低い二相型中皮腫細胞であるMeso-1にマウスOPNを遺伝子導入した遺伝子導入株Meso-1/OPNと、ベクターのみを遺伝子導入したコントロール株Meso-1/Mockを樹立し、各種抗癌剤(Gemcitabine,Pemetrexed,Vinorelbine,cisplatin,paclitaxe1,CPT-11)に対する抗癌剤感受性試験を行った。現在までに、Meso-1/OPNはMeso-1/Mockに比較してGemcitabine,vinorelbine,Pemetrexedに対してより抗癌剤耐性である結果を得ている。現在、OPNによるこれら抗癌剤耐性獲得機序について検討中である。
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