2008 Fiscal Year Annual Research Report
小細胞肺癌の多機能幹細胞からの発生・分化機構の解明と治療への応用
Project/Area Number |
19590926
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
堀尾 芳嗣 Aichi Cancer Center Research Institute, 分子腫瘍学部, 研究員 (30344336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 啓隆 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 室長 (30204176)
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Keywords | 小細胞肺癌 / 幹細胞 |
Research Abstract |
EGFRチロシンキナーゼ阻害剤投与にて長期完全奏効したIV期肺腺癌患者において、原発巣と左頸部リンパ節と右腋窩リンパ節再発病巣を外科的摘出した。原発巣発の病理標本は小細胞肺癌で一部腺癌部分が存在し、左頸部リンパ節と右腋窩リンパ節再発病巣は腺癌を示した。腺癌部分も小細胞肺癌部分もEGFR遺伝子L858R変異を認め、腺癌への分化と小細胞肺癌への分化を示しうる癌幹細胞からの癌化過程を仮説として考えている。小細胞肺癌はEGFR遺伝子とNotch3遺伝子発現が消失し、Ash1遺伝子発現がみられたのに対し、腺癌部分はEGFR遺伝子とNotch3遺伝子発現陽性、Ash1遺伝子発現陰性であった。小細胞肺癌分化にNotch3とAsh1両遺伝子の関与が推定されており、実証に向けて、現在Notch3とAsh1両遺伝子のエピジェネティックな遺伝子発現制御について検討している。 小細胞肺癌細胞株と非小細胞肺癌細胞株とメンブレンアレイを用いた発現解析においてNotch-3の発現低下が認められた。非小細胞肺癌においては19番染色体上にあるNotch-3が発癌に重要であることがDavid Carboneらによって報告されており、また、肺癌細胞株におけるトポイソメラーゼII阻害剤の感受性とNotch-3の遺伝子発現との間に有意な相関が見られたため、Notch-3に対するSiRNA遺伝子導入による遺伝子ノックアウトで確認したところ、関連性が認められなかった。定量的RT-PCRでの再検討を行ったところ、小細胞肺癌でのNotch-3の遺伝子発現低下は裏付けられたが、トポイソメラーゼII阻害剤の感受性との相関は見られなかった。原因はメンブレンアレイ解析でのはずれ値の影響が考えられた。
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