2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590932
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
長田 道夫 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (10192238)
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Keywords | ポドサイト / 糸球体硬化 / ボウマン嚢上皮細胞 / P2I / ネフリン / ガレクチン-3 / 半月体 / リモデリング |
Research Abstract |
今回の研究目的である糸球体の修復機構の解明は、糸球体硬化機序進展に関与する上皮細胞の増殖と形質の同定、その修飾の可能性についてを検討することである。Nephrin-Creによってポドサイトにタグ付けマウスとp21欠損マウスを交配し、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)を作成した結果、糸球体硬化の進展はポドサイトの著しい剥離とボウマン嚢上皮細胞の増殖であることが明らかになった。増殖細胞の形質をマーカー発現から検討した結果、本モデルではポドサイトには脱分化は起こらないことが判明した。したがうて、当初の研究目的の一部である脱分化ポドサイトを大量に得てin vitroで再分化を試みる計画は実現しなかった。一方で、本モデルにおいては、ポドサイトの喪失はアポトーシスによらない可能性が明らかになり、同時にボウマン嚢上皮細胞の細胞周期はp21が関与することが示された。 ヒト半月体も糸球体に瘢痕修復をきたし、その背景には上皮細胞増殖があることが知られている。今回Galectin-3に注目し、この機能と細胞形質、糸球体修復機序について検討した結果、Galectin3は半月体型生成腎炎では、主にマクロファージを中心に発現することが明らかになった。さらに、培養ボウマン嚢上皮細胞を用いた検討では、Galectin-3は細胞増殖を抑制する傾向がみられた。以上から、糸球体の修復機構として、2種類の上皮細胞の相互分化、増殖機構が糸球体硬化、ひいてはリモデリング関与していることが示された。 このれらの成果の一部は、American Journal of Pathology 2009に掲載予定である。
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