2007 Fiscal Year Annual Research Report
腎内レニン・アンジオテンシン系における細胞内ボスホリパーゼA2の意義
Project/Area Number |
19590934
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関 常司 The University of Tokyo, 医学部・附属病院, 講師 (30206619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 秀臣 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60396752)
野入 英世 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (00301820)
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Keywords | 腎近位尿細管 / アンジオテンシンII / ERK / cPLA2 |
Research Abstract |
腎近位尿細管腔には局所で産生・分泌されたAngiotensin II(Ang II)が血漿中よりはるかに高い濃度で存在し、循環血漿中のRAA系とは独立した調節機構を有し、高血圧の発症や腎障害の進展機構などに深く関与する。Ang IIの腎作用の中でも特に近位尿細管作用は体内のNaバランス調節に大きな影響を与えるが、その詳細な分子機構には不明の点が多く残っている。本研究の主な目的の一つは腎内RAA系の大きな特徴である近位尿細管輸送に対する二相性作用におけるcPLA2の意義について明らかにすることであった。本年度は野生型、ATla受容体欠損マウスおよびグループIV cPLA2(cPLA2α)欠損マウスから単離した尿細管を用いて実験を行い、低濃度Ang IIによる刺激作用はAT1/ERK経路に依存すること、および高濃度Ang IIによる抑制作用はERK経路には依存せずAT1/cPLA2α経路に依存することを明らかにした。さらにcPLA2α経路はアラキドン酸のP450代謝産物を介してERK経路に対して抑制的に働くことも明らかにした。こうした結果からAng IIの近位尿細管輸送に対する作用はERK経路およびcPLA2α経路の相対的な力関係で決定されることが初めて示された。これらの知見は長年議論のあったAng IIの近位尿細管輸送に関与するcPLA2アイソフォームを同定したものであり、さらには近位尿細管に特有なAng IIの二相性作用の詳細な分子機構を解明した画期的なものであり、Li Y,et al.J Am Soc Nephrol 19:252-259,2008として公表した。
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