2008 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドローム動物モデルの腎臓脂質代謝障害の発症メカニズムと生理的意義
Project/Area Number |
19590937
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石坂 信和 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 講師 (20270879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 幹 東京大学, 医学部・附属病院, 助教 (60422292)
塚本 和久 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (20251233)
野入 英世 東京大学, 医学部・附属病院, 準教授 (00301820)
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Keywords | 脂質 / リポトキシティ / レニン・アンジオテンシン系 / メタボリックシンドローム / インスリン抵抗性 / 腎機能 / 蛋白尿 / PPARアゴニスト |
Research Abstract |
われわれは以前、アンジオテンシンIIの持続投与が、AT1受容体依存性にラット腎尿細管への過剰な脂質集積を誘導することを報告した。今回の検討ではメタボリックシンドローム動物モデル、OLETFラットを用.いて、腎臓への脂質集積の生理的意義、およびRAS依存性などについて検討した。対照としてこれらの表現系が軽い同一週齢のLETOラットを用いた。経時的に腎の非固定凍結切片へのオイルレッドO染色を施行したところ、28週齢のOLETF腎への脂質集積はマイナーであったが、42週齢では、尿細管上皮に著明な脂肪滴集積を認めた。腎重量当たりの中性脂肪も、OLETFで有意な増加が確認された。腎における脂質代謝関連遺伝子の発現を比較検討したところ、両者において、PPAR-α、SREBP-1c、脂肪酸合成酵素などのmRNA発現には有意な差が認められず、この点では、アンジオテンシンII投与モデルとは異なると考えられた。 OLETFラットの34週齢から8週間、AT1受容体拮抗薬ロサルタンを投与したところ、腎への脂質滴の集積の減少と、脂質含量の減少を認めた。また、ロサルタンの投与は、併行して蛋白尿量を非投薬OLETFの88・18mg/dがら、28・5mg/dへと減少させた。脂質滴減少と蛋白尿減量の因果関係が不明であること、ロサル'タンが血圧にも影響を与えていることなどが、問題点と判断された。そこで、OLETFへのPPARαアゴニスト(フェノフィブラート)、およびPPARγアゴニスト(ピオグリタゾン)の投与モデルを作成した。20週齢OLETFに対し、連続8週間経口投与を行ったところ、腎における脂質含量ばいずれも低下した、蛋白尿量も減少していた。この減少の程度は、ピオグリタゾン群で有意に大きかった。以上め知見より、メタボリックシンドローム動物腎では、腎尿細管に著明な脂質集積を認めること、その程度が蛋白尿量にパラレルであること、さらに、AT1受容体拮抗薬やPPARアゴニストが両病態を改善する可能性があることが示された。
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Research Products
(18 results)