2007 Fiscal Year Annual Research Report
腹膜透析の合併症である、腹膜硬化症進展への補体関与の解析と抗補体治療の可能性
Project/Area Number |
19590946
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水野 正司 Nagoya University, 医学部, 寄附講座助教 (20303638)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 清一 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70190410)
伊藤 恭彦 名古屋大学, 医学部, 寄附講座准教授 (60402632)
|
Keywords | 腹膜透析 / 腹膜硬化症 / 補体 / 補体治療 / 腹膜炎 |
Research Abstract |
1.物理的腹膜障害を想定したラット腹膜scrapeモデルに、真菌膜成分のzymosanを加えることで、腹膜の炎症性変化が著しく増悪したことを観察した。また、zymosanは初期投与のみで、その後も腹膜の増殖性変化が少なくとも36日まで進行した。この現象はヒト真菌性腹膜炎で、感染後抗菌剤による治療と腹膜透析(PD)カテーテル抜去後も腹膜の炎症が続き腹膜硬化症に陥るという報告を支持するものである。単なる腹膜scrapingのみの場合、補体活性化物質の沈着は障害開始数日で消退したのに対し、zymosanを加えた場合、補体沈着は持続して観察された。この腹膜の増殖性変化への補体の影響を調べるため、cobra venom factor (CVF)で流血中の補体を枯渇させたところ、有意に炎症細胞の集積や病理組織障害が軽減した。この結果は、ヒトPD患者における真菌性腹膜炎ではなぜ予後が悪いのか、という理由の一つに補体関与の可能性を示していると考える。 2.CVFは非生理的であり、治療への応用は難しいと考えられるため、生体内に存在する膜補体制御因子の一つであるrecombinant Crry-Ig fusion蛋白を腹腔内投与するというpreliminary studyを現在行っているが、in vivo利用に十分量の蛋白作成を現在共同研究者(カーディフ大学)で行っているところである。 3.ヒトPD排液の収集については、現在徐々に集まってきており、幾らかまとまったところで補体系の測定と解析を行う予定である。 以上の得られた結果と今後の解析により、腹膜硬化症(EPS)発症のメカニズム解明、および予防・治療的アプローチの可能性を模索していく。
|
Research Products
(2 results)