2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590948
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丸山 彰一 Nagoya University, 医学部附属病院, 講師 (10362253)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯澤 由紀夫 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00191479)
田口 明彦 国立循環器病センター, 循環動態機能部, 室長 (10359276)
菅谷 健 東京歯科大学, 歯学部, 客員講師 (40381561)
松尾 清一 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70190410)
|
Keywords | 再生医療 / 脂肪 / 間葉系幹細胞 / 低血清培養 / 慢性腎臓病 / 急性腎障害 |
Research Abstract |
慢性腎疾患は末期腎不全のみならず心血管疾患に対する大きな危険因子である。従来の治療では一旦悪化した腎機能を回復させることは困難であり、腎疾患治療に対する再生医療の応用が期待される。再生医療に用いる細胞ソースとして、我々は採取が容易で骨髄に比べ幹細胞/前駆細胞が豊富な脂肪組織に着目した。特に、脂肪組織をコラゲナーゼ処理して得られるSVF (Stromal Vascular Fraction)および脂肪由来間葉系幹細胞(ASC: adipose derived stem cell)に関して解析を進めている。 これまで十分な説明の上に同意を頂いた20例以上の患者から皮下脂肪を採取している。得られた脂肪組織からSVFおよびASCを分離後、一部は解析に用い、残りは凍結保存した。表面マーカーを調べたところ、SVFにはCD34陽性細胞が平均37%と高率に含まれていることがわかった。我々はこれまでに名古屋大学農学部との共同研究にてヒト脂肪組織から効率よく間葉系幹細胞を分離培養する「低血清培養法」を確立しているが、この方法で末期腎不全患者3例含む全例の皮下脂肪から間葉系幹細胞を分離・培養することに成功している。さらにSVFおよびASCともに凍結・融解しても細胞は問題なく培養・増幅できることを確認した。低血清培養と従来の高血清培養で得られる細胞を比較検討したところ、前者でVEGFおよびHGFを有意に多く分泌していることが確認された。 治療実験として、ラットにシスプラチンを投与して作成した急性腎不全モデルに対し、SVFを腎被膜下に注入した。培養液を投与した対照群と比較してSVF投与群では腎障害の悪化は有意に抑制された。一旦凍結・融解したSVFを投与した群でも同程度に腎障害の悪化が抑制された。 以上の結果から、脂肪由来幹/前駆細胞はヒトでの腎臓再生医療の実用化にあたり非常に有望である。
|
Research Products
(4 results)