2007 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症における新規バイオマーカー及び治療標的の探索
Project/Area Number |
19590949
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菅原 照 Kyoto University, 医学研究科, 臨床教授 (00312223)
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Keywords | 腎臓学 / 慢性腎不全 / 慢性腎臓病 / バイオマーカー / ネフロン / 探索 |
Research Abstract |
本研究では、発症機序の異なる糖尿病性腎症モデル動物及びその治療モデルを組み合わせて、共通点を明らかにすることにより、薬物の直接作用の影響を最小限にし、糖尿病性腎症の可逆性に関わる最上流のcommon pathwayの同定を目指す。第一に、STZ誘発インスリン依存性糖尿病、db/dbインスリン非依存性糖尿病、脂肪萎縮性糖尿病という3種類のマウス糖尿病性腎症モデルを用いて、腎臓から糸球体を単離し正常腎臓と比較することにより、共通に発現増加あるいは減少する遺伝子をスクリーニングする。第二に、それぞれをインスリン、ピオグリタゾン(PPARγ agonist)、レプチンにより治療したのち早期に糸球体を回収し、組織学的変化に先行して発現変動する遺伝子を探索する。cysteine-rich protein 61は細胞外マトリックスの働きを修飾する分泌蛋白であるが、正常糸球体ではpodocyte特異的に発現し、糖尿病性腎症では進行と共に発現が減弱した。Cyr61はin vitroで血管内皮細胞の接着を促進する一方で、メサンギウム細胞とpodocyteの遊走を阻止し、糸球体の内部環境の保持に重要な役割を果たすと考えられた。connective tissue growth factorはCyr61と同様にCCN superfamilyに属し、糖尿病性腎症のpodocyte及びメサンギウム細胞において発現が亢進する。Nephrin promoterを用いてpodocyte特異的にCTGFを過剰発現するトランスジェニックマウスを作出したところ、マトリックス分解酵素のMMP2の発現低下によりメサンギウム基質の増大、podocyte障害の増強により蛋白尿の増加をもたらすことを明らかにし、糖尿病性腎症において発現誘導されるCTGFが腎障害の新しい増悪因子であることを示唆する成績を得た。
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