2008 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症の成因解明と新しい治療法の開発を目指した探索的研究
Project/Area Number |
19590952
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
四方 賢一 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00243452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
槇野 博史 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50165685)
和田 淳 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (30294408)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / 炎症 / マクロファージ / サイトカイン / cholecystokinin |
Research Abstract |
糖尿病性腎症は、わが国における末期腎不全の最大の原因疾患であり、腎症の成因を解明して新しい治療手段を開発することが危急の課題である。我々はこれまでの一連の研究によって、糖尿病性腎症の成因には、軽微な慢性炎症(microinflammation)が関与しており、これは動脈硬化の成因と共通したメカニズムであることを明らかにした。さらに、我々の最近の研究の結果、osteopontin、RANTESやIP-10などのケモカイン・サイトカインやcholecystokinin(CCK)などの炎症関連分子が、腎症の病因に関連している可能性があることが示された。CCKは腎臓の尿細管上皮細胞に、CCK type A receptor,type B receptorは尿細管とマクロファージに発現している。そこで、糖尿病性腎症の進展におけるCCKの役割を明らかにするために、CCK type A receptorとtype B receptorの単独ノックアウトマウスと両者のダブルノックアウトマウス(CCK-AB KOマウス)およびwild typeマウスに糖尿病を発症させ、腎障害の進展を比較した。その結果、CCK-AB KOマウスでは、他の系統のマウスに比較して、糖尿病発症後の腎障害の進展が著明に加速していることが明らかとなった。DNAマイクロアレイでは、CCK-AB KOマウスではwild typeマウスに比較して、腎臓における炎症性遺伝子群の発現が亢進していることが明らかとなった。これらの結果から、CCKは糖尿病性腎症の進展に対して保護的に働く因子であることが示唆された。次に、CCKpeptideを用いて、in vitroとin vivoにおけるCCKの作用を検討した、その結果、CCKが培養マクロファージからの炎症性サイトカイン産生を抑制すること、糖尿病ラットの腎障害の進行を抑制する効果を示すことが明らかとなり、治療への応用が可能であることが示唆された。
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Research Products
(6 results)