2007 Fiscal Year Annual Research Report
2種類の抗利尿ホルモン受容体の相互制御と利尿機構の解明による腎性浮腫治療の開発
Project/Area Number |
19590955
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
野々口 博史 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (30218341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 公夫 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (40114772)
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Keywords | V1a受容体ノックアウトマウス / 抗利尿ホルモン / V2受容体 / V1a受容体 / 集合尿細管 / 尿濃縮 / LLC-PK1細胞 / プロモーター活性 |
Research Abstract |
尿濃縮は、腎臓の最も重要な働きであり、抗利尿ホルモンがその中核をなす。抗利尿ホルモンV1a受容体によるV2受容体を介した抗利尿作用の抑制が、V2受容体promoter活性の調節を介しているのかを検討するために、V1a受容体を恒常的に多量発現するLLC-PK1細胞を作成し,AVPのV1a受容体の存在が、V2受容体転写活性を抑制していることを明らかにした。(Izumi Y., et. al. Am J Physiol Renal Physiol)。一つのホルモンの二つの受容体が、一つの細胞内で局在を異にして存在し、他方の受容体の転写活性を調節しているということを、初めて、我々は明らかにした。 V1a受容体ノックアウトマウスでは、脱水時には、尿量は正常であるが、自由飲水時や水負荷時には、正常マウスに比較して尿量が増えることが明らかになった。尿濃縮を司るV2受容体、アクアポリン2(AQP2)の発現は約半分に低下しており、腎機能の指標である糸球体濾過濾過量は低下し、Na,Cl,Kの尿中排泄は低下し、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAS)系が抑制され、高K血症を来たすことも判明した。In situ hybridization法を用いて、正常マウスでは傍糸球体装置のマクラデンサ細胞管腔側にV1a受容体が発現していることを確認した。これらのことから、V1a受容体は、RAS系の入り口に存在し、容量調節系であるRAS系、浸透圧調節系であるV2受容体-AQP2系の両方を制御していることが判明した。現在、論文は投稿し、改訂中である。
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