2009 Fiscal Year Annual Research Report
進行性腎疾患コホートにおける機能分子に関するプロテオーム解析
Project/Area Number |
19590967
|
Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
横山 仁 Kanazawa Medical University, 医学部, 教授 (50191531)
|
Keywords | 腎臟病 / 移植腎 / 疾患コホート / サイトカイン / ケモカイン / 組織適合抗原 / 機能分子 |
Research Abstract |
研究初年度(19年度)に作成した腎炎・ネフローゼ症候群ならびに移植腎疾患コホートに新規症例の追加を行ない,ネフローゼ症候群(18例),ループス腎炎(33例),急速進行性腎炎症候群(半月体形成性腎炎)とくにpauci-immune型腎炎(25例)ならびに移植腎症(154例)の経時的な臨床病理学的所見プロファイルを作成した.それぞれの疾患コホート症例の腎機能予後に関して,前向き調査を実施し,多変量解析によりpauci-immune型腎炎における組織適合抗原HLA-DRB1遺伝子型と発症との関連ならびに移植腎におけるアデポサイトカイン(高・中・低)分子量ならびにHLA-Gの慢性移植腎症への関与が確認された.また,臨床病理学的診断における細胞内シグナル伝達分子・免疫担当細胞ならびに病変部における線維化関連細胞の意義について,本年度に施行した腎生検組織を用いた病理ならびに免疫組織学的検討を継続して実施した.これに基づいて,糸球体ならびに尿細管間質病変に関して画像解析装置を用いたスコア化を実施するとともに,特異的抗体を用いた免疫組織化学法により間質線維化に関連するcirculating fibrocytesの浸潤および血管周皮細胞(pericytes)ならびに尿細管上皮細胞におけるHLA-G発現を検討した.移植腎における組織線維化に先行した急性期にfibrocytesの浸潤と慢性期の線維化過程における血管周皮細胞(pericytes)の関与を認めた.さらに移植生着時の尿細管上皮細胞HLA-G発現亢進が確認された.以上より,今回作成した疾患コホートを用いて経時的な臨床観察ならびに既知の分子発現解析とともに新たな機能分子の検討を前向きに実施し,腎機能保護に関連した候補分子が見出された.
|