2008 Fiscal Year Annual Research Report
慢性腎臓病におけるADMA代謝と微小血管障害-腎機能障害と蛋白尿に関して-
Project/Area Number |
19590971
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
奥田 誠也 Kurume University, 医学部, 教授 (80158823)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 誠二 久留米大学, 医学部, 講師 (80322593)
|
Keywords | 慢性腎臓病 / 一酸化窒素 / 内皮機能障害 / 蛋白尿 / DDAH / ADMA |
Research Abstract |
慢性腎臓病(CKD)では内皮機能の障害が、微小血管障害により心血管合併症や腎組織病変にも関与すると考えられる。内皮機能に大きな役割を果たすのが一酸化窒素(NO)であり、また、NOの合成酵素阻害物質(ADMA)が体内には存在し、内皮機能障害に関与することが知られている。CKD患者では腎機能の低下にしたがって、また蛋白尿量に比例して、腎組織障害の程度に比例して血中ADMAの増加が認められた。このようなCKDにおける血中ADMA増加の機序について、動物モデルで検索したところ、ADMAの合成酵素(PRMT)の肝や腎臓での発現更新、ADMAの分解酵素(DDAH)の発現低下が認められ、尿中のADMA排泄はむしろ増加していた。このようにCKDではADMA代謝経路に異常があることが証明された。 また、進行性CKDモデルにDDAHをアデノウイルスを使って遺伝子導入を行うと、血圧の低下、蛋白尿の減少に伴って、GFRの低下が阻止された。また組織学的にも糸球体硬化、間質線維化が抑制され、TGF-βなどの繊維化、硬化に関する増殖因子の発言も低下していた。 糖尿病ラットモデルにおいても、DDAHの強制発現により、アルブミン尿の減少、間質尿細管の虚血が抑制され糖尿病における腎内の微小循環障害にもADMAが関与することが考えられた。蛋白尿はいずれのCKDモデルでもADMAと最も相関を示すため、尿細管上皮をアルブミンと培養するとDDAHの発現が抑制され培養液中のADMAの濃度が増加しており、蛋白尿自体がADMAの産生に関わっている可能性が示唆された。このようにADMAはCKDの内皮機能障害により微小血管障害に強く関わっていることが明らかになった。
|