2007 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病治療標的としてのリン酸化αシヌクレインの生物学的解析
Project/Area Number |
19590979
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
荒若 繁樹 Yamagata University, 医学部, 助教 (00344789)
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Keywords | 脳神経疾患 / 神経科学 |
Research Abstract |
パーキンソン病(PD)の進行を抑制する治療法の開発には、その本態である中脳ドパミン神経細胞の変性機構を解明し、治療標的を探索しなくてはならない。私たちは、PDの疾患感受性遺伝子としてGタンパク質共役型キナーゼ5(GRK5)を見出し、GRK5はPDを特徴づける異常構造物レビー小体を構成するαシヌクレイン(αS)の129番目セリン残基をリン酸化することを報告した。私たちは、セリン129のリン酸化がαSの異常重合・凝集化を促進し、神経細胞毒性をもたらすという「リン酸化αS仮説」を考えている。本研究課題は、この仮説を検証し、治療標的としてのαSのリン酸化反応を検討するため、平成19年度に以下の3目標を設定した。 1、αSのセリン129をリン酸化するキナーゼの同定 2、GRKファミリーを介したαSのセリン129リン酸化の制御機構の解明 3、リン酸化αSセリン129のモデルマウスの作成並びに解析 1の目標については、RNA干渉法を用いて内因性GRKファミリー分子群をノックダウンさせ、培養細胞におけるαシヌクレインのリン酸化反応への寄与を検討した。ヒト非神経系HEK293細胞ではGRK6が寄与していること、ヒト神経系SH-SY5Y細胞ではGRK5及びGRK6が関与していることを明らかにした(International psychogeriatric association 2007、Society of Neurosciece 2007で発表)。2については、ある種の細胞刺激によって、GRK5及びGRK6を介したαSのリン酸化機構が存在することを見出した。3については、ウイルス接種またはトランスジェニックマウスの掛け合わせにより、急性及び慢性反応としてリン酸化αSの毒性の評価する系を作成している。目標2、3の解析をとおして、GRKを介した「リン酸化αS仮説」を検証していく予定である。
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