2007 Fiscal Year Annual Research Report
16番染色体長腕に連鎖する優性遺伝性脊髄小脳変性症の分子遺伝学的研究
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19590985
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
吉田 邦広 Shinshu University, 医学系研究科, 准教授 (90242693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 修一 信州大学, 医学部, 教授 (60135134)
松本 直通 横浜市立大学, 医学系研究科, 教授 (80325638)
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Keywords | 脊髄小脳変性症 / 連鎖解析 / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
2005年、16番染色体長腕に連鎖する優性遺伝性脊髄小脳変性症(16q-ADCA)の病因としてpuratrophin-1遺伝子のC/T塩基置換が報告された。長野県内でもADCA130家系を解析したところ52家系(全体の39%)で当該塩基置換が確認され、長野県は16q-ADCAの好発地域であることが判明した(国内の他地域ではADCAの約8-20%)。申請者らは多数の患者・家系の解析から、puratrophin-1遺伝子の当該C/T塩基置換が真の病因ではなく、疾患関連多型であること、真の原因遺伝子はpuratrophin-1遺伝子からセントロメア側に存在することを報告した。その後、puratrophin-1遺伝子のセントロメア側約900kbの候補領域にpuratrophin-1遺伝子のC/T塩基置換と同様に非常に疾患特異性の高いSNPがいくつか同定されている。申請者らはこれまでにpuratrophin-1遺伝子のC/T塩基置換を持たず、よりセントロメア側には疾患特異的なSNPを有する患者を2名見出した。現在、この2患者・家系を対象にハプロタイプ解析を行い、候補領域の絞り込みを進めている。 一方、臨床的には16q-ADCAは脊髄小脳失調症6型(SCA6)と類似した純粋小脳型に分類されている。申請者らは16q-ADCA患者63名、SCA6患者33名の臨床像を詳細に検討した。その結果、発症年齢は16q-ADCAが60.2±10.0歳、SCA6が41.4±8.9歳と前者が明らかに高齢発症であった。臨床的にはともに小脳外症状が目立たない純粋小脳型であったが、国際的な小脳失調の評価法であるICARSによれば、眼球運動障害(眼振)は後者が有意に高頻度に見られた。発症からの経年的な小脳失調の進行度に関しては、両者に有意な差異は見られなかった。
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