2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管ペリサイトのストレス応答における細胞内情報伝達機構に関する研究
Project/Area Number |
19590992
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鴨打 正浩 Kyushu University, 大学病院, 助教 (80346783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北園 孝成 九州大学, 大学病院, 講師 (70284487)
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Keywords | 周皮細胞 / 微小循環 / 血管新生 / 脳血管 |
Research Abstract |
【具体的内容】脳血管ペリサイトは血管新生、血液脳関門、微小循環調節に重要な役割を果たしている。本研究は、細胞外環境の変化が脳血管ペリサイトにおいて惹起する細胞応答、細胞機能について検討した。 細胞外のアシドーシスは、Na/H exchanger 1(NHE1)を逆回転モードとして活性化し、細胞内Ca貯蔵部位よりCaを周期的に放出させる(Ca oscillation)。Ca oscillationはCa依存性転写因子であるnuclear factor of activated T cells(NFAT)の核内移行を促進し、核内に移行したNFATが種々の遺伝子の転写を制御している。NFATを介したサイトカインの分泌調節は細胞増殖を制御している。脳血管ペリサイトには、活性酸素生成酵素であるNAD(P)H(Nox)4が発現し、活性酸素を生成し細胞増殖を制御している。angiotensin IIはNox4の発現を増加させ、活性酸素の生成を増加させる。過度の酸化ストレスはamiloride感受性蛋白のSH基の酸化を介して、細胞内Ca上昇を引き起こす。 【意義、重要性】脳毛細血管の成熟、脳内の血管新生に脳血管ペリサイトの存在が不可欠である。また、神経再生に必須なniche(微小環境)の重要な構成細胞と考えられる。近年、神経活動に応じた血流の制御も行っていることが示されている。脳血管ペリサイトには間葉系幹細胞に類似した多能性多能性も示唆されており、中枢神経疾患の病態生理に果たす重要な役割が注目されるようになった。本研究は、脳血管ペリサイトの細胞外の環境に応じた細胞応答及び細胞機能の変化を明らかにした。本研究の成果は、脳血管ペリサイトの機能制御を介した中枢神経疾患に対する新規治療法の開発に応用できる。
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Research Products
(11 results)