2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管ペリサイトのストレス応答における細胞内情報伝達機構に関する研究
Project/Area Number |
19590992
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鴨打 正浩 Kyushu University, 大学病院, 助教 (80346783)
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Keywords | 周皮細胞 / 微小循環 / 血管新生 / 脳血管 |
Research Abstract |
脳血管ペリサイトは血管新生、血液脳関門、微小循環調節に重要な役割を果たしている。本研究は、脳血管ペリサイトにおいて細胞外環境の変化が惹起する細胞応答、細胞機能について検討した。 脳血管ペリサイトにおいて、細胞外のアシドーシスは、Na/H exchanger1(NHE1)を逆回転モードとして活性化し、細胞内Ca貯蔵部位よりCaを周期的に放出させる(Ca oscillation)。PDGF-BはPDGFR-βを介して、PLCγをリン酸化しCa oscillationを惹起する。PDGF-Bは、Ca依存性転写因子であるCREB(cAMP response element binding protein)をリン酸化し、細胞内シグナルの調節を行っている。また、Ca oscillationはCa依存性転写因子であるnuclear factor of activated T cells(NFAT)の核内移行を促進し、核内に移行したNFATが種々の遺伝子の転写を制御している。NFATを介したサイトカインの分泌調節は細胞増殖を制御している。脳血管ペリサイトには、活性酸素生成酵素であるNAD(P)H(Nox)4が発現し、活性酸素を生成し細胞増殖を制御している。angiotensinIIはNox4の発現を増加させ、活性酸素の生成を増加させる。過度の酸化ストレスは細胞内Ca貯蔵部位からのCa放出を起こす。酸化ストレスはNHE、NCX、ASIC、ENaC以外のamiloride感受性蛋白のSH基の酸化を介して、細胞内Ca上昇を引き起こす。 本研究は、脳血管ペリサイトにおけるシグナル伝達機構の一端を明らかにした。脳毛細血管の成熟、血管新生には脳血管ペリサイトの存在が不可欠である。本研究の成果は、脳血管ペリサイトの制御を介した新規の中枢神経疾患治療法の開発に寄与すると考えられる。
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