2007 Fiscal Year Annual Research Report
センダイウイルスベクターを用いた脳微小血管構築を標的とする脳梗塞遺伝子治療の研究
Project/Area Number |
19590993
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大星 博明 Kyushu University, 大学病院, 助教 (10311838)
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Keywords | 遺伝子治療 / センダイウイルス / 脳梗塞 / ベクター / 血管透過性 |
Research Abstract |
脳梗塞に対する新規治療法としての遺伝子治療の可能性を探求する目的で、本邦でクローニングされ、血管新生ならびに神経再生作用を示す可能性を有し、治療遺伝子の候補として期待される新規成長因子ミッドカインを、アデノウイルスベクターを用いて高血圧自然発症ラットの脳虚血発症後の脳内に遺伝子導入した。脳虚血の作製には、当研究室で開発したクリプトンレーザー照射による血栓性中大脳動脈閉塞モデルを用い、脳梗塞の亜急性期において脳保護作用ならびに炎症・血管新生・神経再生に及ぼす影響を検討した。その結果、急性期のみならず亜急性期においても脳梗塞の縮小効果を示すことが認められた。また、炎症を惹起する懸念がないこと、血管新生作用は有しないが、neuroblastの梗塞巣への遊走促進が認められた。したがって、脳梗塞に対するミッドカインの作用として、抗アポトーシス作用に加えて神経再生を介する保護作用を有することが示唆され。脳梗塞遺伝子治療への有用性が示唆された。 また、国産ベクターであり細胞質型RNAベクターとしてその発展が期待されているセンダイウイルスベクターを用い、標識遺伝子を脳虚血後に脳内に導入した。脳虚血後であっても良好な導入効率を示し、脳梗塞に対する遺伝子治療ベクターとしての有用性が示された。さらに血管系を介した遺伝子導入やex vivo導入による細胞療法などの有効性を検討しており、今後脳虚血部位における微小血管構築の破綻と血管透過性亢進に対する保護作用の可能性を検討し、国産技術による臨床的な遺伝子治療の開発を進める。
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