2008 Fiscal Year Annual Research Report
センダイウイルスベクターを用いた脳微小血管構築を標的とする脳梗塞遺伝子治療の研究
Project/Area Number |
19590993
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大星 博明 Kyushu University, 大学病院, 講師 (10311838)
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Keywords | 遺伝子治療 / センダイウイルス / 脳梗塞 / ベクター / 血管透過性 |
Research Abstract |
脳梗塞に対する新規治療法としての遺伝子治療の可能性を探求する目的で、本邦でクローニングされ、我々がすでに脳梗塞における抗アポトーシス作用を報告した新規成長因子ミッドカインの脳梗塞の亜急性期における脳保護作用について詳細な検討を行った。その結果、亜急性期においても脳梗塞の縮小効果が急性期と同程度に認められた。また、梗塞巣への白血球やマクロファージなどの炎症反応浸潤を促進する作用は認められなかった。一方、神経再生に関しては、脳室下層における神経幹細胞の増殖への影響は認めないものの、神経前駆細胞の梗塞巣への遊走を有意に促進させることが認められ、脳梗塞治療における神経再生を介する保護作用が示唆された。 また、国産ベクターであり細胞質型RNAベクターとしてその発展が期待されているセンダイウイルスベクターを用いて標識遺伝子を脳虚血後に脳内に導入し、脳虚血後であっても良好な導入効率を示すことから、脳梗塞に対する遺伝子治療ベクターとしての有用性が示された。また、我々がすでに脳梗塞急性期における血管透過性亢進の阻害作用を報告している可溶性Flt-1を、センダイウイルスベクターに組み込んで脳室内に導入し、アデノウイルスベクターによる導入と比較を行った。その結果、脳室内への可溶性Flt-1産生のピークはアデノウイルスベクターよりも長期にわたることが認められ、さらなる有効性が期特された。脳虚血部位における微小血管構築の破綻と血管透過性亢進に対する保護作用が期待され、国産技術による臨床的な遺伝子治療の開発につながる成果が得られたと考えられた。
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