2008 Fiscal Year Annual Research Report
TGFーβ陽性調節性T細胞を標的とした多発性硬化症の画期的治療法開発に関する研究
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19590995
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
越智 博文 Kyushu University, 大学病院, 講師 (20325442)
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Keywords | 多発性硬化症 / 免疫調節性細胞 / TGF-β / 脳由来神経栄養因子 |
Research Abstract |
1.多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)病態制御におけるLAP陽性T細胞の役割 ヒトLAP陽性T細胞は極めて少なく、ex vivoの実験系においてサイトカイン産生能やサプレッサー機能解析を行うことは極めて困難であった。このことから、MSの病態制御にLAP陽性T細胞を臨床応用する場合には、in vitroにおいてヒトLAP陽性T細胞を効率良く誘導することが重要であると考えられた。また、誘導されたLAP陽性T細胞の機能維持を図ることが重要であると考えられた。 2.末梢血中の神経栄養因子の効率的測定法の確立とMS病態解析への応用 末梢血T細胞の機能維持に必要な神経栄養因子を特定することを目的に、末梢血中の神経栄養因子を効率良く検出するシステムとしてELISA in situ法を確立した。MS患者群の血清脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor:BDNF)値は、健常対照群や他の神経疾患群(筋萎縮性側索硬化症群、脊髄小脳変性症群、HTLV-1関連脊髄症群)に比較して、有意に高値(p<0.01)である。しかし罹病期間との関連でみると、MS患者群は加齢・罹病期間とともに血清BDNF値が低下する傾向を示したのに対し、健常対照群では加齢とともに上昇する傾向を認めた。さらに、MS患者では血清BDNF値の低下に伴い、身体機能障害(EDSS)が進行する傾向にあった。また、血清BDNF値が中等度以上高値(>50ng/ml)である群は、検査時年齢が有意に若く(p<0.05)、EDSSが有意に低くかった(p<0.05)。このことより、MSの病初期では血清BDNF値は高値であるが、病期の進行とともにその濃度が低下し、身体機能障害も進行することが考えられた。さらに、ELISA in situ法により末梢血単球とリンパ球からのBDNF分泌量を測定した結果、進行期MS患者におけるBDNF産生低下は、リンパ球ではなく単球からのBDNF産生低下に起因することが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)