2007 Fiscal Year Annual Research Report
ALSの運動ニューロンにおける小胞体ストレス惹起蛋白の解明と治療法の開発
Project/Area Number |
19590997
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
菊池 仁志 Kyushu University, 大学病院, 特別教員 (60322765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立石 貴久 九州大学, 大学病院, 助教 (50423546)
河村 信利 九州大学, 大学病院, 非常勤助教 (00432930)
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Keywords | ALS / 小胞体ストレス / 異常蛋白質 |
Research Abstract |
本研究は、筋委縮性側索硬化症(ALS)の運動ニューロンの小胞体や細胞質内における異常変性蛋白質の蓄積に伴う神経細胞死を解明し、関連プロテアーゼによるALSの治療法を開発することを目的とする。異常変性蛋白質の蓄積に関しては、ヒトALSおよびALSモデルマウス(変異SOD1^<G93A>遺伝子導入マウス)における、小胞体内および細胞質内でのミスフォールディング蛋白の解析として、γチューブリンなどのMTOC関連蛋白質に関する免疫組織化学を用いて、異常蛋白質の凝集を検索している。ALSモデルマウスでは、γチューブリンが、病状の進行に従い運動ニューロン細胞質に凝集する傾向があり、異常蛋白質の集積は、モーター蛋白であるダイニンなどによるMTOCへの誘導が示唆された。また、ミスフォールディング蛋白の代謝過程でERADに関連するカルネキシンサイクルの機能解析を進めており、カルネキシン、カルレティクリンなどのカルネキシンサイクル関連蛋白質の発現をを検証中である。治療的アプローチとして、カテプシンおよびカルパインなどの異常変性蛋白質の分解に関与するプロテアーゼの解析として、ヒトALS、ALSマウスモデルでのカルパイン並びにIP3受容体、リアノジン受容体(RyR)などの発現に関し、免疫組織学的・生化学的検討を行い、ALSでのRyRの充進を確認している。同時に、酸化ストレス状態下で運動ニューロンの培養系であるNSC34細胞を用いた実験を行い、無血清状態下でカテプシンB阻害剤(CA-074me)の添加により、細胞死が促進されるという結果を得た。現在さらに、NSC34細胞にカテプシンBならびにカルパイン阻害剤を添加し、その生存効果を検証中である。私どもの研究で得られた結果は、ALSの運動ニューロンにおける異常蛋白質の凝集機序の解明とそれに基づく治療法の開発が期待できる。
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