2008 Fiscal Year Annual Research Report
ALSの運動ニューロンにおける小胞体ストレス惹起蛋白の解明と治療法の開発
Project/Area Number |
19590997
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
菊池 仁志 Kyushu University, 大学病院, 特別教員 (60322765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立石 貴久 九州大学, 大学病院, 助教 (50423546)
河村 信利 九州大学, 大学病院, 非常勤助教 (00432930)
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Keywords | ALS / 小胞体ストレス / 異常蛋白質 |
Research Abstract |
本研究は、筋委縮性側索硬化症(ALS)の運動ニューロンの小胞体や細胞質内における異常変性蛋白質の蓄積に伴う神経細胞死を解明し、関連プロテアーゼによるALSの治療法を開発することを目的とした。異常変性蛋白質の蓄積に関しては、ヒトALSおよびALSモデルマウス(変異SOD1^<G93A>遺伝子導入マウス)における、小胞体および細胞質内でのミスフォールディング蛋白の解析として、γチューブリンなどのMTOC関連蛋白質に関する免疫組織化学を用いて、異常蛋白質の凝集を検索。ALSモデルマウスでは、γチューブリンが、病状の進行に従い運動ニューロン細胞質に凝集する傾向があり、異常蛋白質の集積は、モーター蛋白であるダイニン等によるMTOCへの誘導が示唆された。また、小胞体を介した蛋白分解系であるERADに関連して、ヒトALS剖検脊髄の運動ニューロンではカルネキシン,カルレティクリンの免疫染色性は低下しており,カルネキシンサイクルの機能低下が考えられた.プロテアーゼによる異常変性蛋白質の分解に関しては、ヒトALS、ALSマウスモデルではカルパインのmRNA発現亢進並びに活性型カルパインの有意な発現亢進が見られた。IP3受容体、リアノジン受容体(RyR)などの発現に関する免疫組織学的・生化学的検討を行い、ALSでは、小胞体におけるカルシウム放出に関与するRyRの亢進を確認した。これらの結果は、小胞体に関連したCa^<2+>流入異常のALSの病態への関与を示唆している。また、治療研究では、酸化ストレス状態下でNSC34細胞を用い、無血清状態下でカルパイン阻害剤により神経細胞死が抑制され,カテプシンB阻害剤の添加により,細胞死が促進されるという結果を得た.本結果より、ALSではカルパインの活性化が病態形成に関与し,カテプシンBが,運動ニューロン死に対して神経防御的に作用していることが考えられた.
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