2008 Fiscal Year Annual Research Report
Tdp1ノックアウトマウスを用いた神経変性機構の解明
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19591001
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
高嶋 博 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (80372803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有村 公良 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (30140908)
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Keywords | 脊髄小脳変性症 / ニューロパチー / SCAN1 / DNA修復 / 神経変性 / ノックアウトマウス / TDP1 |
Research Abstract |
我々は、Charcot-Marie-Tooth2型のMotor and sensory neuropathyと小脳失調を示す疾患(spinoc erebellar ataxia with axonal neuropathy: SCAN1)の原因として、Tyrosyl-DNA phosphodiesterase1:TDP1)を同定した。本疾患は、小脳症状と軸索型neuropathyを伴う疾患で、脊髄前角細胞、後根神経節細胞、プルキンエ細胞などの大型の神経細胞の変性が推定されている。TDP1は、DNAの転写や複製時に働くトポイソメラーゼI関連の酵素であり、DNAに結合したトポイソメラーゼを、DNAから取り除く酵素がTDP1である。TDP1は、DNAの修復機構の異常、特にSingle strand break repair (SSBR)のXRCC1 complexとして塩基除去修復(Base excision repair (BER))の一員として働き、さらにトポイソメラーゼ以外のSSBRにおいても働くことが、明らかとなってきている。これまでにDNA repair pathwayとの関連を中心に病態について報告してきたが、今回、詳細なTDP1ノックアウトマウスモデルの解析およびSCAN1患者のTDP1遺伝子変異(H493R)の特殊性にっいて検討した。 Tdp1ノックアウトマウスモデルにおいては長期間明らかな異常兆候が見いだせず、loss-of functionのみでは明らかな神経症状の発症はみられなかった。一方、CPT-1,Bleomycinなど、SSBR阻害の抗癌剤に対しては明らかな過敏性があった。SCAN1患者皮膚培養細胞でH493R TDP1におけるDNA-TDP1複合体の蓄積を確認し、comet assayでTdp1 nullの状況下でのTDP1 H493Rの存在がsingle strand breakの蓄積を加速させることを確認した。SCAN1はこの酵素活性の低下という1面と、TDP1H493Rが長くDNAに結合しDNA修復を阻害するという特殊な異常が重なることにより、発症することが推定され、このことが常染色体劣性遺伝病において引き起こされているということから、通常のAD病のdominant negativeやtoxic mutationではなく、またloss-of functionでもない新病態ということで、このような例を“recessive neomorphic mutation"と名付けた。 本発見は、DNA修復異常症の病態の理解を深めるだけでなく、新しい遺伝子異常の形を提案する報告となった。
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Research Products
(2 results)