2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規アデノ随伴ウイルスベクターを応用した神経変性疾患の病態解析
Project/Area Number |
19591003
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
村松 慎一 Jichi Medical University, 医学部, 教授 (10239543)
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Keywords | パーキンソン病 / アルツハイマー病 / 筋萎縮性側索硬化症 / アデノ随伴ウイルス |
Research Abstract |
神経細胞またはグリア細胞特異的に遺伝子を導入できるアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを使用して,パーキンソン病,アルツハイマー病,筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患における病態を解析し,新たな治療法を開発することを目標に研究を実施した。パーキンソン病患者の黒質に認められるLewy小体の構成成分であり家族性パーキンソン病の原因遺伝子の一つでもあるα-synuclein,アルツハイマー病患者の脳内に老人斑として蓄積するβamyloid,さらに前頭側頭葉型痴呆(FTLD-U)およびALSで見られる神経細胞内凝集体の構成成分として同定されたTDP-43などの蛋白質を発現するAAVベクターを作製した。マウスの胚性幹細胞(ES細胞)から分化誘導した神経細胞にアミロイド前駆体蛋白質(APP)を発現するAAVベクターを感染させる実験では,神経細胞死を誘導するアミロイド凝集体が検出された。α-synucleinを発現するAAVベクターをマウスの黒質に注入する実験では,黒質緻密部のドパミン神経細胞の減少が観察された。さらに,特定の変異型TDP-43を脳内に注入したマウスでは行動異常が認められた。作製した病態モデルについて,生化学的および免疫組織化学的解析を行い,これらの蛋白質による神経細胞変性の誘導しやすさは特定部位のリン酸化の程度よりも形態変化が重要である可能性を示唆する結果を得ている.
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