2008 Fiscal Year Annual Research Report
片頭痛におけるASICの役割-片頭痛動物モデルを用いた検討
Project/Area Number |
19591005
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
清水 利彦 Keio University, 医学部, 講師 (40265799)
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Keywords | 片頭痛 / ASIC / TRPV1 / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
ASIC受容体およびTRPV1受容体を介する三叉神経血管系での落痛刺激の伝達機序について,抗体を利用して免疫組織化学およびWestern blottingにより検討した.実験にはSprague-Dawley種ラットを用いた.ラットをペントバルビタール麻酔下に脳固定装置に固定し,頭部皮膚正中切開にて頭蓋骨を露出し歯科用ドリルにて頭頂部に頭窓を作成した.ASIC受容体の刺激として脳硬膜を露出して外頚動脈の枝である中硬膜動脈の灌流領域を酸性のpHのbufferで灌流した.TRPV1受容体の刺激として脳硬膜をcapsaicinで刺激した.その後,深麻酔下に氷冷ピクリン酸添加パラホルムアルデヒド溶液(Zanboni液)により灌流固定後,片頭痛の病態の主座をなす三叉神経脳血管系および片頭痛に関与しているとされる三叉神経節および脳幹の三叉神経核を摘出し,これらの組織サンプルを液体窒素により凍結しクリオスタット用の組織標本とした.標本はクリオスタットにより10μm厚の切片としてスライドグラスに貼付し,MAPキナーゼp38およびERKのリン酸化抗体を用いた螢光抗体法により受容体の局在と分布を光学顕微鏡で検討した,さらに投与から灌流固定までの時間をそれぞれ与1分,3分,5分,10分,30分,60分と設定し,MAPキナーゼ(p38,ERK)のリン酸化の程度を三叉神経節,脳幹三叉神経脊髄路核において比較検討する.同様の実験を,免疫組織化学のほかにwestern blotによってもリン酸化を確認した.この結果ERKおよびp38刺激1分後にピークとなり,その後,刺激前のリン酸化レベルまで低下した.本研究は,脳硬膜のTRPV1受容体を刺激した結果,疼痛の指標としてMAPキナーゼリン酸化を捕らえており,疼痛モデルとして有用である可能性が考えられた.
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Research Products
(3 results)