2008 Fiscal Year Annual Research Report
局所脳虚血後の梗塞巣拡大におけるERKシグナル伝達経路の関与の検討
Project/Area Number |
19591008
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
冨田 裕 Keio University, 医学部, 助教 (60276251)
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Keywords | ERK2ノックアウト・マウス / 中大脳動脈閉塞モデル / FITCラベル赤血球 / 共焦点顕微鏡 / マットラブソフト / TTC染色 / 7テスラ動物用MRI |
Research Abstract |
慶應義塾大学医学部神経内科学教室にてERK2ノックアウト・マウス、および野生型コントロールに対し、生理的条件を一定とし、田村の変法を用いて中大脳動脈閉塞モデルを作成した。その後、FITCラベルされた赤血球を全身投与後、頭窓を通して脳微小循環動態を同一動物、同一部位にて毛細血管レベルまで、高速(500枚/秒)カメラレーザー光(488nm)スキャン共焦点顕微鏡を用いて長期間(4週間まで)反復生体観察した。さらに個々の毛細血管内の赤血球の速度・数を、当研究室がマットラブソフトを用いて開発したオリジナルソフトウエア(KEIO-IS1&2)によって、自動解析し統計計算を行った。その結果、ERK2ノックアウト・マウス群では、野生型コントロール群と比較し、脳梗塞後の関心領域の脳微小血流および毛細血管内赤血球速度の回復過程が時間的に速い傾向が認められた。また、TTC染色を用いて脳梗塞24時間後の梗塞体積を2群間で比較したところ、ERK2ノックアウト・マウス群の方が若干小さくなる傾向が認められた。一方、7テスラ動物用MRI(拡散強調画像・T1&T2強調画像・MRA)を用いて頭部撮影し脳梗塞部位を描出、同様に梗塞24時間後の梗塞体積を2群間で比較したところ、全例で明瞭に梗塞部位は描出されたが、その梗塞体積に有意差は認められなかった。これは脳浮腫の影響を完全に除外できなかった可能性があり、梗塞後の撮影時期を変えて再評価する課題が浮かび上がった。したがって今後のさらなる検討を要するが、これまでの結果からは局所脳虚血後の梗塞病変の進展拡大においてERK2シグナル伝達機構が増悪因子として作用しており、将来の脳梗塞後の治療のターゲットとなり得る可能性があることが示唆された。
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Research Products
(7 results)