2007 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経髓疾患に対する抗血小板薬を用いた新規治療法開発の研究
Project/Area Number |
19591018
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
宮本 勝一 Kinki University, 医学部, 講師 (50388526)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠 進 近畿大学, 医学部, 教授 (90195438)
|
Keywords | 脳・神経 / 中枢神経 / 多発性硬化症 / 実験的自己免疫性脳脊髄炎 / 抗血小板薬 / 接着分子 |
Research Abstract |
本年度は交付申請時の予定通りに、多発性硬化症(MS)の動物モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)に対して治療効果を有する抗血小板薬を見出すことに成功した。B6マウスにMOGペプチドで誘導したEAEに対して、アスピリンやCilostazolなどの抗血小板薬を1%含有するエサ、あるいはコントロールとして通常エサを与えて症状を評価した。その結果、Cilostazol含有エサ投与群は、他の抗血小板薬投与群と比較してEAE症状が最も軽症であり、通常エサ投与群と比較してEAE症状は有意に抑制された。EAE発症後に投与を開始した場合は、効果は得られるものの、統計学的有意差はなかった。EAE誘導後11日目のリンパ球をin vitroにてMOGで再刺激し、細胞増殖友応や培養上清のサイトカインを測定したところ、Cilostazol投与群ではMOG反応性T細胞の増殖反応やIFNγ産生が有意に低下していた。つまり免疫学的バランスのTh1を抑制する方向に作用していた。また、血清中可溶性接着分子をELISAにて測定したところ、EAE症状発症時期にて、ICAM-1とp-selectinが有意に低下していた。接着分子はEAEにおいて、活性化リンパ球の脳血液関門通過に重要である。これらの結果から、cilostazo1はEAEにおけるinduction phaseにおいて治療効果を発揮していることが明らかになった。さらなる詳細な機序について、次年度に明らかにする予定である。
|