2008 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄小脳変性症の経頭蓋磁気刺激治療法ー機能的MRIによる改良
Project/Area Number |
19591020
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
谷脇 考恭 Kurume University, 医学部, 教授 (80284496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村岡 範裕 久留米大学, 医学部, 助教 (80352160)
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Keywords | 脊髄小脳変性症 / 反復経頭蓋磁気刺激 / 機能的MRI / 大脳基底核運動回路 / 小脳-大脳運動回路 / 運動課題 / ネットワーク解析 |
Research Abstract |
(目的・方法)脊髄小脳変性症に対し、運動野に反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)を行うことで、失調症が改善する報告があるが、画期的な成果を得るには至っていない。rTMSは脳皮質のごく狭く、浅い領域の脳機能を抑制するため、刺激部位の選定が極めて重要である。小脳は大脳皮質運動関連野と回路を形成し、回路内で機能亢進している部位を磁気刺激すると、効果が大きいことが予想されるが、小脳障害による回路内の活動変化は過去検討されておらず、rTMSに最適な刺激部位は不明である。我々は機能的MRI(fMRI)、運動課題およびネットワーク解析を用いて、小脳-大脳運動皮質回路および大脳基底核運動回路の機能変化を、非侵襲的にヒトで解析する方法を、世界で初めて開発した。そこで脊髄小脳変性症患者(SCA6とCCAの小脳のみ障害されるタイプ)を対象としてこの方法を用いて、fMRIによる脊髄小脳変性症の病態モデルの作成を試みた。前年度では7例であったが本年度は10例まで症例を増やした。(結果)脊髄小脳変性症患者では、老年健常人と比較して、補足運動野-大脳運動野間の機能連関の亢進を認めた。(意義・重要性)基底核障害モデル(パーキンソン病)では、小脳-大脳運動皮質回路の機能連関が亢進したことから、脊髄小脳変性症では大脳基底核運動回路、特に補足運動野-被殻-大脳運動野間の機能連関の亢進が予想されていた。今回の結果はこれを支持するもので、rTMSに最適な刺激部位は、補足運動野であることが解明された。現在、1例の脊髄小脳変性症患者に補足運動野刺激のrTMSを行い、刺激前後の臨床症状の変化をICRSで検討している最中である。
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