2009 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症と前頭側頭型認知症の脳に蓄積する核内蛋白質の解析と病態の解明
Project/Area Number |
19591024
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
新井 哲明 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都精神医学総合研究所, 主任研究員 (90291145)
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Keywords | 認知症 / 封入体 / 神経変性疾患 / 運動障害 / リン酸化 / 人格変化 |
Research Abstract |
TDP-43の蓄積機構やそれによる細胞障害機構、蓄積抑制による治療薬開発などのために培養細胞や実験動物を用いたTDP-43蓄積モデルの開発が必要である。そこで、まず培養細胞を用い、TDP-43の細胞内凝集体モデルの構築を試みた。核移行シグナル(nuclear localization signal : NLS)の候補配列として検索された2つの領域(78-84残基および187-192残基)の欠損変異体をSH-SY5Y細胞に発現させた結果、78-84残基がNLSであることが判明した。これらの欠損変異体を細胞に発現させ、さらにプロテアソーム阻害剤処理を行うと、細胞質内あるいは核内に凝集体が出現した。これらの凝集体は患者脳で見られる凝集体と大きさが似ており、ユビキチン抗体およびpTDP-43特異抗体に陽性であった。さらに、green fluorescent protein(GFP)と結合したTDP-43のN末端側あるいはC末端側断片を細胞に発現させると、ユビキチンおよびpTDP-43陽性の凝集体が認められ、生化学的にもサルコシル不溶性画分にpTDP-43陽性のバンドを確認した。以上から、ヒト疾患脳に形成されるTDP-43凝集体形成を培養細胞で再現することに成功しており、この細胞モデルは病態解明や治療薬探索に有用であると考えられた。
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