2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞におけるβセクレターゼの活性・発現・細胞内局在の制御機構の解明
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19591025
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
荒木 亘 National Center of Neurology and Psychiatry, 神経研究所疾病研究第六部, 室長 (60311429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯浅 茂樹 国立精神・神経センター, 神経研究所微細構造研究部, 部長 (70127596)
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Keywords | アルツハイマー病 / 認知症 / プロテアーゼ / アミロイド |
Research Abstract |
アルツハイマー病の治療標的の一つであるβセクレターゼBACEの制御機構を解明するため,昨年度に引き続き,(i)我々が同定したBACEと相互作用し,そのβアミロイド(Aβ)生成活性を抑制する膜蛋白Reticulon(RTN)のBACE抑制の分子機序,(ii)RTN3のin vivoにおけるAβ産生抑制効果,(iii)BACEの細胞内局在や代謝に,翻訳後修飾の一つパルミチル化が果たす役割を中心に検討した。(1)RTN3の第1あるいは第2膜貫通部を欠損するか,無関係な膜蛋白の膜貫通部と置換した変異体を作製して,BACE結合性,Aβ生成抑制効果について分析した。その結果,RTNによるBACEの制御には2個の膜貫通部両方を含む立体構造が重要であることが明らかとなった。(2)我々が確立したRTN3発現トランスジェニック(Tg)マウスとアミロイド前駆体蛋白(APP)発現Tgマウスを交配し,ダブルTgマウスを作出した。約15ヶ月齢のAPP Tgマウス,ダブルTgマウスの脳凍結切片を免疫染色し,Aβ沈着の程度を比較したところ,ダブルマウスでは,APPマウスに比べて,Aβ斑の数が海馬,大脳皮質で低下していた。従って,RTN3がin vivoでもAβ生成を抑制することが示唆された。(3)パルミチル化が起こると予想されるBACEのC末部の3または4個のCys残基をAlaに置換した変異体(BACE-CA3,BACE-CA4)を安定発現する神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞を樹立し,種々の解析を行った。BACE-CA4は野生型に比べて脂質ラフトへの局在が著しく減少していた。2種の変異体は野生型に比べて細胞外切断が起こりにくかった。これらの結果から,パルミチル化はBACEの脂質ラフト局在や細胞外切断を制御する因子であることが示唆された。
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Research Products
(9 results)