2008 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞内におけるペリリピンの脂肪分解制御機構と肥満・代謝疾患
Project/Area Number |
19591029
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三好 秀明 Hokkaido University, 病院, 助教 (30360902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 力 北海道大学, 病院, 講師 (00292029)
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Keywords | ペリリピン / 肥満 / 脂質代謝 / 脂肪細胞 / 代謝学 |
Research Abstract |
脂肪滴サイズ決定やカテコラミン刺激のない定常状態(basal)での脂肪分解反応について、脂肪細胞内の脂肪分解律速酵素であるATGLとHSL、脂肪滴上でそれらの働きを制御するペリリピンの3者の相対的寄与度とそれら相関について研究を行った。その中でbasalではペリリピンの発現は脂肪分解反応を著しく抑制し貯留の方向に進めるが、脂肪滴サイズや脂肪細胞内中性脂肪貯留の制御に関してはATGLの発現の方がより大きく影響することが明らかになった。また、脂肪滴サイズや中性脂肪貯留の決定、basalでの脂肪分解反応に関して、脂肪分解律速酵素としてのHSLの作用は乏しく、ATGLがおもに担当していること、ATGLのbasalでの脂肪分解作用は、カテコラミン刺激時と異なりペリリピンの存在に依存していないことが本研究により明らかになった。この結果は、2008年J Cell Biochemに掲載された。 また、我々が作成した脂肪特異的ペリリピン過剰発現マウスが、摂餌量は変化しないが、脂肪組織が約半分ほどに縮小し脂肪細胞が著しく小さいこと、インスリン抵抗性や糖代謝の改善、酸素消費量や熱産生の亢進、脂肪分解の抑制といった代謝変化を起こしてくることが明らかになり、現在英文雑誌に投稿中である。その機序解明のための各臓器(内臓白色脂肪組織、皮下白色脂肪組織、褐色脂肪組織、肝、骨格筋)でのDNAチップアッセイはじめ多くの検討により、各脂肪組織での脂肪酸酸化の亢進や、脂肪合成遺伝子の発現低下、アディポカインの変化といった痩せの際に一般的に考慮される結果のほかに、最近興味深い新知見を得たので、論文化にむけて準備しているところである。
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Research Products
(2 results)