2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外pHストレスを感知するG蛋白連関型受容体と動脈硬化
Project/Area Number |
19591034
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
戸村 秀明 Gunma University, 生体調節研究所, 准教授 (70217553)
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Keywords | 細胞・組織 / シグナル伝達 / 生理活性 / pH / G蛋白連関型受容体 |
Research Abstract |
私は「OGR1受容体ファミリーが、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞におけるpHセンサーとして機能し、動脈硬化症と関連した血管機能の制御に関与している」との仮説を立てている。本年度は、以下の結果を得た。プロスタサイクリンは血小板凝集阻害や細胞増殖・遊走の抑制など、血管機能に関与する。長期間(数時間)の細胞外pHの低下に伴い、ヒト大動脈血管平滑筋細胞において、COX-2の発現誘導(mRNAレベル、蛋白レベル)と、その結果、さらなるプロスタサイクリンの産生が引きおこされることを、見出した。このCOX-2発現誘導に対する、OGR1ファミリーの関与をOGR1に特異的なsiRNAを用いて解析した。その結果、細胞外pHの低下によるCOX-2の発現誘導とプロスタサイクリンの産生はOGR1siRNA処理により減弱した。一方、インターロイキンー1α刺激によるCOX-2発現誘導は、OGR1siRNA処理により影響を受けなかった。従って、pH低下に伴うCOX-2発現誘導にはOGR1が関与していることが明らかとなった。次に、関与する三量体G蛋白を百日咳毒素、特異的阻害剤を用いて特定した。その結果、この応答にはGi,Gqが関与することが明らかとなった。さらにその下流のシグナル系を特異的な阻害剤を用いて解析したところ、PKCに対する阻害剤でプロスタサイクリン産生が抑制されたことから、PKCが関与していることが推定された。さらに、ヒトCOX-2プロモーターの下流にルシフェラーゼ遺伝子をつないだレポータープラスミドを用いて、プロモーターのどの部位がpH感受性を示すのか調べた。しかしながら、pH低下に伴うルシフェラーゼ活性の増加の程度が低いため、これ以上の解析はまだ進んでいない。以上の結果から、長時間のpH低下に伴うCOX-2の発現とプロスタサイクリンの産生にはOGR1/Gq,Gi/PKC経路が関与していることが考えられた。
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Research Products
(9 results)