2008 Fiscal Year Annual Research Report
可溶型受容体LR11欠損モデルを用いた血管平滑筋細胞の病的形質の制御
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19591036
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
武城 英明 Chiba University, 大学院・医学研究院, 教授 (80291300)
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Keywords | 動脈硬化 / 平滑筋細胞 / 内膜中膜肥厚 / 遊走 / アンギオテンシンII / バイオマーカー |
Research Abstract |
平滑筋細胞のフェノタイプ変換と機能変化のメカニズムに関わる基礎概念を臨床医学で展開することの必要な病的細胞として血管内膜平滑筋細胞がある。我々は、内膜平滑筋細胞の遺伝子発現を網羅的に調べ、特異的に発現するLDL受容体スーパーファミリーLR11を同定し、これが細胞骨格の変化へのサイトカイン感受性克進の原因であることを明らかにした。本研究は、LR11ノックアウト動物の血管細胞の機能解析により放出可溶化LR11による内膜SMCsの病的形質変換の修飾を解明し、新規の内膜平滑筋細胞バイオマーカーとしての臨床的意義を探索することである。本研究成果から、LR11遺伝子は特に平滑筋細胞の遊走能の亢進に必要であり、LR11遺伝子が欠損することにより遊走能が低下する。内膜平滑筋特異的遺伝子LR11は、動脈硬化の進展における平滑筋細胞の中膜から内膜への遊走と増殖過程に重要であり、LR11機能を修飾することにより動脈硬化巣を変化させる可能性がある。Lr11^<-/->マウス血管平滑筋細胞の解析から、LR11はウロキナーゼ受容体/インテグリンを介したとりわけAngII刺激での細胞アクチン再構成に重要であり、Lr11^<-/->細胞ではこれが障害されることにより遊走能が減弱することが明らかになった。血中可溶型LR11濃度が頚動脈内膜中膜肥厚度と密接に関連し、多変量解析の結果、従来の動脈硬化危険因子とは独立した動脈硬化マーカーとなることが示唆された。以上の結果から、可溶型LR11の血中濃度の測定は動脈硬化症における新規の血管傷害バイオマーカーとして臨床的にあらたな診断および治療学的アプローチとなると考えられる。今後、血中可溶型LR11濃度の正確なアッセイ系を確立することが急務と考えられる。
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[Journal Article] AngII-stimulated migration of vascular SMC is dependent on LR11.2008
Author(s)
Jiang M, Bujo H, Ohwaki K, Unoki H, Yamazaki H, Kanaki T, Shibasaki M, Azuma K, Harigaya K, Schneider WJ, Saito Y
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Journal Title
J. Clin. Invest. 118
Pages: 2733-2746
Peer Reviewed