2008 Fiscal Year Annual Research Report
視床下部のオレキシン系がインスリン抵抗性を防御する機構の解明
Project/Area Number |
19591039
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
恒枝 宏史 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (20332661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹岡 利安 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (00272906)
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Keywords | オレキシン / インスリン抵抗性 / 糖代謝 / 視床下部 / 肝臓 / レプチン / ノックアウトマウス / 糖尿病 |
Research Abstract |
視床下部のインスリン作用は末梢組織のインスリン感受性を増大させ、糖代謝を促進する役割を果たしている。本研究では前年度、視床下部ペプチドのオレキシンの欠損により視床下部におけるインスリン作用が破綻し、加齢に伴い糖代謝に異常が生じることを見出した。特に雌性オレキシン欠損マウスでは糖代謝異常が顕著であり、血清インスリン濃度およびレプチン濃度の上昇が認められた。そこで、これらの異常の発症メカニズムを明らかにするため、9ヵ月齢の雌性オレキシン欠損マウスの腹腔内にレプチンを投与し、細胞内シグナルを解析した結果、肝臓におけるSTAT3リン酸化の減弱が認められた。従ってオレキシン欠損に伴うレプチン感受性の低下が、肝臓でのインスリン感受性の低下を誘発することが示唆された。さらに、加齢したオレキシン欠損マウスの肝臓における遺伝子発現をGeneChipを用いて網羅的に解析した結果、糖新生に関わるFoxa2やグリコーゲン合成・分解に必須なglycogenin、glycogen debranching enzymeの発現量に異常が認められた。またインスリンシグナルに関わるインスリン受容体、インスリン受容体基質およびprotein kinase Cζの発現量にも低下傾向が見られた。その他、炎症や脂質代謝に関わる遺伝子群にも著明な異常を認めた。以上の結果から、慢性的なオレキシンの欠乏は、視床下部と肝臓の臓器連関による血糖調節を破綻させ、耐糖能異常を惹起すると考えられる。このように視床下部のオレキシン神経系は加齢依存的なインスリンおよびレプチン抵抗性の増大を防御することにより、糖代謝調節に重要な肝機能の維持に寄与していると考えられる。
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Research Products
(2 results)