2007 Fiscal Year Annual Research Report
代謝関連核内受容体による冠動脈危険因子制御の解明と治療
Project/Area Number |
19591040
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
野原 淳 Kanazawa University, 医学系研究科, 特任助教 (50313648)
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Keywords | 内科 / 脂質 / ゲノム / 糖尿病 / 遺伝子 / Retinoid-X-receptor |
Research Abstract |
核内受容体は関連した遺伝子群を協調して制御する転写因子だが,近年Retinoid-X-receptor(RXR)とヘテロダイマー形成する核内受容体群はメタボリックシンドロームをはじめとする代謝異常症の研究・治療の極めて有望なターゲットとなりつつある。我々は脂質・糖質代謝に深く関わる胆汁酸受容体FXR遺伝子に本邦で高頻度の多型を見いだした。このFXR遺伝子多型保持者では野生型に比べBody Mass Indexが上昇するが血清コレステロールは低値であった。さらに最も汎用される高コレステロール血症治療薬であるスタチンにより,本多型保持者では有意にコレステロールが低下していた。本邦ではスタチンへの反応がよい患者が多く,使用用量が欧米よりも低く設定されているがその遺伝背景の一つである可能性がある。また同様のスタチンへの良好な反応はLDL受容体に遺伝子異常が確認されている家族性高コレステロール血症患者でも認められた。スタチンの効果が不十分な場合に最も効果のある併用療法は胆汁酸吸着剤であるレジンであるが、胆汁酸受容体の遺伝子多型によるスタチン作用増強は,レジンの作用機序に類するメカニズムが推定される。これらの成果はXVI International Symposium on Drugs Affecting Lipid Metabolismなどで報告した。またRXRγ遺伝子多型が家族性複合が時高脂血症で高頻度であり,この遺伝子多型が機能亢進型変異で,機序としてリポ蛋白リパーゼ(LPL)の低下を介していることを示し,Arterioscler Thromb Vasc Biol誌に報告した。LPLは動脈硬化発症の予見因子ともなりうる蛋白であり,臨床的な重要性をさらに検討しており,共同研究者の小林淳二教授により糖尿病患者の食後高脂血症に関与しうるアポB48やRLP-TGとの関連を報告した。
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Research Products
(8 results)