2008 Fiscal Year Annual Research Report
代謝関連核内受容体による冠動脈危険因子制御の解明と治療
Project/Area Number |
19591040
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
野原 淳 Kanazawa University, 医学系研究科, 助教 (50313648)
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Keywords | 内科 / 脂質 / ゲノム / 糖尿病 / 遺伝子 / Retinoid-X-receptor |
Research Abstract |
核内受容体は関連した遺伝子群を協調制御する転写因子で,近年Retinoid-X-receptor(RXR)とヘテロダイマー形成する核内受容体群は代謝異常症の研究・治療の有望なターゲットとなっている.我々はRXRとヘテロダイマー形成する核内受容体群に高頻度の遺伝子多型が存在し,機能的に野生型と異なることを見出し,また冠動脈硬化症の危険因子である脂質・糖質代謝に対する影響,さらに動脈硬化症の進展に実際に影響していることを示した.遺伝子多型のいくつかは本邦においてのみ認めるものであった.我々が包括的に本邦で行った検討結果を元として,RXRヘテロダイマー形成核内受容体の遺伝子多型と心血管疾患危険因子の関連をJ Atheroscler Thromb誌に報告した.胆汁酸受容体FXR遺伝子において,本邦で非常に高頻度の多型保持者では有意にコレステロールが低下しており,スタチン製剤に対する反応が良いことを示した.本邦ではスタチンへの反応がよい患者が多く、使用用量が欧米よりも低く設定されているがその遺伝背景の一つである可能性がある。家族性高コレステロール血症(FH)患者においてもFXRの多型がスタチン製剤の治療効果に影響していることを示し,またFHではスタチンだけでは効果不十分となることが多いため胆汁酸吸着剤であるレジンが併用されるが,さらにコレステロール吸収阻害剤であるEzetimibe併用を含めた3剤の治療効果を検討して日本循環器学会総会にて報告した。また転写因子であるUpstream Transcription Factor 1遺伝子多型は家族性複合型高脂血症の遺伝素因として注目されているが,同遺伝子の多型は冠疾患患者のHDLコレステロール値にFXR遺伝子多型と相乗的な効果を示しており,またFH患者においてもこの多型が血清脂質に影響していることを示して米国心臓病会議にて報告した。
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Research Products
(6 results)