2007 Fiscal Year Annual Research Report
2型糖尿病発症における転写因子TFAP2B、KLF7の関与とその分子機構
Project/Area Number |
19591070
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
前田 士郎 The Institute of Physical and Chemical Research, 糖尿病性腎症関連遺伝子研究チー, チームリーダー (50314159)
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Keywords | 2型糖尿病 / 膵β細胞 / インスリン分泌 / 遺伝子 |
Research Abstract |
本研究はKLF-7,TFAP2Bの脂肪細胞、あるいは膵ベータ細胞等での作用を明らかにすると共に、その分子機構を解明する事により、新規の糖尿病治療標的としての意義を明確にする事を目的とするものである。本年度はまず膵β細胞におけるTEAP2Bの機能を知る為に、ハムスター膵β細胞由来インスリン分泌細胞であるHIT-T15細胞にTFAP2Bをコードするアデノウィルスベクターを感染させ、TFAP2B過剰発現によるインスリン分泌能の検討を行った。HIT-T15細胞培養上清中に分泌されたインスリン量をELISA法により測定し、グルコース、Tolbutamide、高濃度KCl刺激時のインスリン分泌量をコントロールのLacZ過剰発現細胞と比較した。また、HIT-T15細胞におけるインスリン分泌関連遺伝子の発現量を定量PCR法で、蛋白発現量をウェスタンブロット法により解析した。【成績】1)ヒト膵臓組織およびHIT-T15細胞においてTEAP2BmRNAの発現が認められた。2)TFAP2B過剰発現HIT-T15細胞ではグルコース刺激時(16.7mM)のインスリン分泌が著明に抑制された。Tolbutamide刺激(300μM)によるインスリン分泌も著明に抑制されたが、KCl(30mM)によるインスリン分泌は抑制されなかった。3)インスリンmRNA発現量および細胞内インスリン量はTFAP2B過剰発現細胞とコントロールのlacZ過剰発現細胞との間で差は認められなかった。4)TFAP2B過剰発現HIT-T15細胞ではKir6.2mRNAおよびタンパク質発現量が有意に低下していた。GLUT2およびSUR1発現量には差を認めなかった。以上よりTEAP2Bはグルコースによる膵β細胞からのインスリン分泌を低下させ、2型糖尿病疾患感受性に関与する事が示唆された。さらに本年度は膵β細胞特異的トランスジェニックマウスの作成を行い(外部委託)次年度以降にその解析を行っていく。
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