2009 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌と子宮内膜癌のエストロゲン感受性、内分泌治療反応性相違の分子機序の解明
Project/Area Number |
19591071
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 慎一 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (60144862)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 ゆり 埼玉県立がんセンター, 臨床腫瘍研究所, 主任研究員 (80166628)
|
Keywords | 子宮内膜癌 / 乳癌 / エストロゲン / マイクロアレイ / ホルモン療法 / 核内受容体 |
Research Abstract |
エストロゲン関連腫瘍の癌微小環境の評価のため、エストロゲン応答配列(Estrogen Response Element)を、ユビキチン結合部位を持つ半減期の短い(定量的に評価するため)GFP遺伝子の5'上流に繋いだERE-GFPを乳癌細胞株MCF-7に安定導入した株を樹立した。手術時に得た検体を初代培養し、このERE-GFP指示細胞と共生培養することによってそれぞれの患者組織のエストロゲンシグナルカスケードに及ぼす影響を評価し、これによって、個々の患者の検体の微小環境評価を試みた。子宮癌の癌部位を含む微小環境、特にエストロゲンシグナルの調節に関係するものの動態を把握するため、乳癌と同様の解析を子宮内膜癌から得られた間質細胞と共培養にて行った。その結果、子宮癌でも乳癌と同様、間質細胞による癌細胞のERシグナルの活性化が見られた。エストロゲンによって制御される遺伝は子宮癌と乳癌で異なるものの、症例によってはアロマターゼ阻害剤のような間質からのエストロゲン刺激を遮断するホルモン療法が子宮内膜癌の治療に有用な可能な可能性が考えられる。また、ERE-GFPをアデノウイルスに導入したアッセイ系を用いて、手術時に得た子宮癌検体と乳癌検体の初代培養にウイルスを導入し、原発腫瘍のER活性化能を定量、評価し、子宮内膜癌のエストロゲンシグナルの意義と乳癌における結果との比較検討を行った。その結果、多くの子宮内膜癌で、乳癌と同様の高いER転写活性を有することを明らかにした。これらのことから、エストロゲンシグナルに依存した増殖機構を有すると思われる症例を選択すれば、子宮内膜癌においても乳癌と同様のホルモン療法、特にアロマターゼ阻害剤を用いた治療も十分有効ではないかと思われる。
|