2007 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス回路を制御する脳内ノルアドレナリン神経-発生工学的神経破壞法による検討
Project/Area Number |
19591072
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井樋 慶一 Tohoku University, 大学院・情報科学研究科, 教授 (60232427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 弘毅 東北大学, 大学病院, 助教 (80301050)
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Keywords | ストレス / 視床下部 / マウス / 遺伝子 / 脳 / ノルアドレナリン / ホルモン / 行動 |
Research Abstract |
青斑核(LC)は脳内最大のノルアドレナリン(NA)含有神経核である。本年度はLC標的イムノトキシン法により作成した「LC特異的NA作動性神経破壊マウス」を用い、糖質コルチコイド分泌調節および情動反応におけるLCの役割を明らかにした。 DBHプロモーター制御下にヒトIL2受容体導入遺伝子を発現させたトランスジェニックマウスを用いた。麻酔下で定位脳固定装置を用いイムノトキシンを微量注入した。実験終了後組織切片を作成し、それぞれの神経核の破壊状態をチロシン水酸化酵素の免疫染色によって確認した。 イムノトキシン投与1週間後、LCにおけるNA作動性神経は完全に破壊され消失した。主としてLCからNA作動性神経が投射する大脳皮質や海馬におけるチロシン水酸化酵素免疫陽性神経終末および組織中NA含量が激減した。LC破壊による副腎皮質系の基礎レベルへの影響を評価するため、TgにLC破壊手術を施し、1週間後、躯幹血中ACTH基礎値を定量した。対照として、LCにPBS投与を行ったsham手術群を用いた。次に、LC破壊マウスと対照マウスを用い、30分間拘束ストレスおよび腹腔内リポポリサッカライド投与1時間および2時間後に血中ACTH濃度を定量した。LC破壊により視床下部-下垂体-副腎系のストレス応答は影響を受けなかった。10分間の高架式十字迷路テスト、10分間のopen field test、30分間のmarble burying testを行い両者の情動応答を比較した。これらの行動実験においては、いずれもLC破壊マウスで不安情動の減弱を示唆する結果が得られた。以上の結果、LCは不安の形成に関与することが示唆された。内分泌性ストレス応答への関与は認められなかった。
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