2007 Fiscal Year Annual Research Report
視床下部ヒスタミンH1受容体を介す生体リズムとエネルギー代謝調節のクロストーク
Project/Area Number |
19591082
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
吉松 博信 Oita University, 医学部, 教授 (00166993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加隈 哲也 大分大学, 医学部, 助教 (80343359)
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Keywords | 神経ヒスタミン / H1受容体 / オレキシン / 視交叉上核 / エネルギー代謝 / リズム / 時計遺伝子 / BMAL-1 |
Research Abstract |
視床下部ヒスタミンH1受容体を介する生体リズム調節とエネルギー代謝調節のクロストーク機構を明らかにするために、平成19年度は以下のような研究成果をあげた。1)食行動およびリズム調節因子であるオレキシンの脳室内投与により神経ヒスタミンの代謝回転が亢進する。2)オレキシン神経変性マウスでは、神経ヒスタミンの代謝回転が低下している。3)絶食負荷などエネルギー欠乏時の神経ヒスタミンの活性化はオレキシン神経変性マウスでは減弱している。以上の実験結果からエネルギー代謝に関する情報がオレキシン神経を介して神経ヒスタミンにもたらされることが明らかになった。オレキシン-神経ヒスタミンの機能連関は生体の代謝状況をリズム調節系に反映させる役割を担っていると考えられる。また神経ヒスタミンとリズム調節系に関しては以下のことが判明した。4)神経ヒスタミンの活性化は生物時計の中枢である視交叉上核(SCN)のc-fos発現を増加させ、ヒスタミンH1受容体欠損マウスではそれが減弱している。5)時計遺伝子であるBMAL-1の視床下部内発現はH1受容体欠損マウスでは、明期暗期ともに対象群と差がない。6)H1受容体欠損マウスではBMAL-1発現の日内変動が減弱している。これらの結果より、神経ヒスタミンはSCNの神経活動をH1受容体を介して調節しているが、時計遺伝子BMAL-1の発現自体には直接影響していないことが示唆される。しかし、BMAL-1遺伝子発現の日内変動の修飾因子として神経ヒスタミンが機能している可能性がある。また神経ヒスタミンによるリズム調節機能に視床下部以外の脳部位の関与がある可能性も考えられる。これに関しては、7)前頭前野のinfralimbic cortexの破壊が神経ヒスタミン機能を低下させ、食行動や活動性のリズムに影響することが新たに明らかになったため、引き続き実験を継続している。
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Research Products
(16 results)