2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳特異的なアロマターゼ遺伝子発現による脳の性的二型決定機構の解析
Project/Area Number |
19591086
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
本田 伸一郎 Fujita Health University, 医学部, 准教授 (40257639)
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Keywords | ステロイドホルモン / 転写調節 / 中枢神経系 |
Research Abstract |
エストロゲン合成酵素であるアロマターゼは性腺や脳で発現している。各組織における転写は、異なるプロモーター領域により組織特異的な発現制御を受けている。申請者は、酵母ワンハイブリッド法を利用して、脳特異的プロモーターに存在するシスエレメントのうちaro-Bサイトに結合する核内因子、Lhx2を単離した。in vivoクロマチン免疫沈降法により、Lhx2は脳特異的アロマターゼプロモーターと相互作用していることが確認された。また、マウス胎仔間脳部の初代神経培養細胞系を利用し、siRNAを用いてLhx2の発現をノックダウンすると、アロマターゼの発現が低下する。これらのことよりLhx2は脳アロマターゼの発現に関与していることが明らかとなった。さらに酵母ツーハイブリッド法を用いて、Lhx2のコファクターとしてDEAF1を同定した。これらの転写因子がどの様なメカニズムで転写制御を行っているかをさらに詳細に調べるため、同様に酵母ツーハイブリッド法を用い、DEAF1をベイトとして、スクリーニングを行ったところ、DEAF1結合因子としてUbc9が単離された。Ubc9はSUMO化反応のE2酵素であることが知られている。Lhx2、DEAF1およびUbc9がアロマターゼの脳特異的プロモーター活性に、どの様な影響を及ぼすのか調べるため、培養細胞を用いてアロマターゼ脳特異的プロモーターのレポーターアッセイを行った。その結果、Ubc9は転写活性化に働き、aro-Bサイトに直接結合していると考えられるLhx2をアッセイ系から除くと、Ubc9の転写活性化能は認められなくなった。このように、脳特異的アロマターゼの転写制御とDEAF1のSUMO化の関連性は不明であるが、Lhx2、DEAF1による本遺伝子の脳特異的発現制御にはUbc9が関与している可能性が示唆された。
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