2007 Fiscal Year Annual Research Report
PPARs活性化剤が示す膵がん細胞の細胞周期停止機構の解明
Project/Area Number |
19591090
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
佐藤 眞友美 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (50124459)
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Keywords | 核内受容体 / PPARリガンド / 膵臓癌 / 細胞周期 / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
核内受容体PPARs(peroxisome proliferator-activated receptorα,β,γ)は、脂肪組織や肝臓において糖質、脂質代謝調節作用に関与している。しかしPPARsはその他の細胞でも発現しており、多彩な機能を有していると予想される。膵臓癌細胞株のpanc-1細胞やPT-45細胞にはPPARsが発現していた。新規創製PPARsリガンドであるフェニルプロピオン酸化合物TIPP703は、濃度依存的にこれら2種の膵臓癌細胞の増殖を抑制した。このTIPP703は、PPARγの機能の一つである脂肪細胞の分化誘導能を指標に創製したPPARのリガンドであり、PPARα,β,γに強く結合する特徴をもつ。TIPP703による脂肪細胞の分化誘導能は既存のPPARγリガンドであるロジグリタゾンと同等だが、膵がん細胞の増殖抑制効果はロジグリタゾンより強く、増殖抑制機能へのPPARαβの関与が示唆された。フローサイトメトリー法によりTIPP703を加えて3日間培養した膵がん細胞の細胞周期を解析した結果、膵がん細胞の90%がG_0G_1期(DNA合成準備期)に止まり、S期(DNA合成期)への移行が阻害されていた。このときアポトーシスの誘導は観察されなかった。即ちTIPP703は膵癌細胞の細胞周期をG_0G_1期に停止する事が明らかになった。さらにTIPP703処理による細胞周期関連蛋白の発現変化を調べた結果、細胞分裂のアクセル因子であるサイクリンD1蛋白は発現低下が観察された。いっぽうサイクリン依存性キナーゼを阻害し細胞増殖抑制機能をもつp21蛋白は増加していた。この化合物の細胞周期停止機構を解明し、細胞周期停止機能をになうPPARの標的蛋白をみいだすことはPPARsの新しい機能の発見であり、その成果は制ガン剤の開発につながると思われる。
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[Journal Article] Design,synthesis,and evaluation of isoindolinone-hydroxamic acid derivatives as histone deacetylase(HDAC)inhibitors.2007
Author(s)
Lee S, Shinji C, Ogura K, Shimizu M, Maeda S, Sato M, Yoshida M, Hashimoto Y, Miyachi H.
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Journal Title
Bioorg Med Chem Lett 17
Pages: 4895-4900
Peer Reviewed
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[Journal Article] All-trans retinoic acid induces in vitro angiogenesis via retinoic acid receptor:possible involvement of paracrine effects of endogenousvascular endothelial growth factor signaling2007
Author(s)
A Saito, A Sugawara, A Uruno, M Kudo, H Kagechika, Y Sato, Y Owada, H Kondo, M Sato, K Kurabayashi, M Imaizumi, S Tsuchiya, S Ito
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Journal Title
Endocrinology 148
Pages: 1412-1423
Peer Reviewed
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