2007 Fiscal Year Annual Research Report
巨核球成熟、血小板産生分子制御機構の解明:ヒト胚性幹細胞研究への応用
Project/Area Number |
19591096
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江藤 浩之 The University of Tokyo, 医科学研究所, 助教 (50286986)
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Keywords | ES細胞 / 巨核球 / 血小板 / 細胞骨格 / アクチン重合 / 造血 / 幹細胞 / 細胞環境 |
Research Abstract |
WAVE2/Abi1複合体を介した巨核球成熟及び血小板産生の分子機構解明 血小板産生に関わる様々な要因の内、巨核球への選択的分化、巨核球成熟、血小板放出などにはアクチン・ミオシン細胞骨格系の関与が示唆されている。本研究課題では、アクチン制御分子Rhoファミリーの一つであるRacおよびそのエフェクターであるWAVEに焦点を当て、巨核球成熟、血小板放出機構におけるWAVE1,WAVE2の働きを明らかとした。WAVE2欠損マウスは、胎生11日目にはすべて死亡してしまうため、研究代表者はWAVE2完全欠損ES細胞を作成した。マウスES細胞からの巨核球分化、血小板産生を可能とする培養系は、代表研究者が既に2002-2003年に確立した方法に従った。WAVE1欠損マウスは神経系の異常から生後数日以内に死亡してしまうため、胎児肝臓(E13.5)を放射線照射したマウスに移植して造血を再構築した。以上の実験から、1)WAVE1は、血小板産生を含む生体内造血においての異常は認めなかった。一方、2)WAVE2欠損ES細胞から血液細胞への誘導を行ったところ、巨核球前駆細胞へのコミットメントにおいてはコントロールに比し促進的であったが、多核化に伴う細胞質の拡大がおきず、また血小板産生も障害されていた。血小板は生体内での安定的止血においてRac1が必須であることが示されていたが、その下流でもWAVE2が重要かつ必須であることも明らかにした。 ヒトES細胞からの造血前駆細胞濃縮分子機構の解明 ヒトES細胞をソースとする造血幹・前駆細胞集団を濃縮できる培養法を開発した。本方法により、血小板産生が試験管内で成功することを証明した。今後は、さらに効率よく産生できる培養条件の開発、産生された血小板の保存法の確立が課題となる(Blood受理、2008 in press)。
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Research Products
(7 results)