2008 Fiscal Year Annual Research Report
移植後T細胞の白血病特異的免疫反応の増強による新しい臍帯血移植法の開発
Project/Area Number |
19591098
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 聡 The University of Tokyo, 医科学研究所, 准教授 (60226834)
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Keywords | 白血病 / 臍帯血移植 / 白血病特異免疫 / 移植後免疫回復 / キラー免疫グロブリン様受容体 / NK細胞受容体 / HLA-C / GVHD |
Research Abstract |
抗原特異的細胞性免疫の獲得に重要な影響を与える因子についての探索を目的として、臍帯血移植後の移植片対宿主病(GVHD)発症患者における患者末梢血Tリンパ球上のホーミング関連分子の発現の解析、およびキラー免疫グロブリン様受容体(KIR)とそのリガンド(L)の適合性が臍帯血移植成績に及ぼす影響に関する解析をおこなった。 腸管指向性エフェクター/メモリーT細胞のホーミング関連分子として報告されているのはIntegrin α4、Integrin β7、CCR9である。また、皮膚に向かうT細胞のホーミング関連分子として報告されているのはCLA、CCR4、CCR10である。以上より、腸管および皮膚へのホーミング関連マーカーに対する抗体を、CD4およびCD8に対するlineage抗体と組み合わせ、9カラー解析を行なったところ、腸管GVHDを起こした症例の腸管へのホーミング関連分子の発現細胞(α4β7hiccR9+)が、起こさなかった症例に比べて多くなることはなかった。また、皮膚のGVHDを起こした症例において、皮膚へのホーミング関連分子の発現細胞(CLA+CCR4+CCR10+)が、起こさなかった症例に比べて多くなることはなかった。 次に、KIR-L適合に関する解析では、これまで欧州を中心に急性骨髄性白血病(AML)に対するHLAハプロー致移植において、ドナーとレシピエントがKIR-L不適合の組み合わせである場合、アロ反応性NK細胞による抗白血病細胞作用による再発の減少と生存率の上昇効果が報告されていた。我々の解析では、急性および慢性GVHDの発症頻度、全生存率、無病生存率は、両群間で有意差は認めなかった。また、AMLの寛解期に限ってみても差は認めなかった。 これらのデータは、臍帯血移植後の抗腫瘍特異的細胞性免疫療法における次段階の治療戦略を構築するための重要な基盤的情報となる。
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Research Products
(3 results)