2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591104
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松下 正 Nagoya University, 医学部附属病院, 講師 (30314008)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝見 章 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特任講師 (80378025)
|
Keywords | von Willebrand factor / ADAMTS13 / GPIb / TTP / HUS / thrombocytopenia |
Research Abstract |
予備実験としてFull lengthマウスVWFを発現させ、保有する抗体のスクリーニングを行い、抗体5D2がマウスVWFにヒトVWFに対するのと同程度に反応することを見いだした。またADAMTS13-/-マウスにつき、129/SVバックグラウンドのものを国立循環器病センター宮田敏行博士より供与を受け、繁殖に成功したので、CASA/Rkマウスと同系統のCAST/Eiに対し4回の交配を実施した。一方、陰性コントロールとしてGPIb結合能を欠くノックインマウスを準備した。これはVWFのexon28(Al domainをふくむ)においてLys599(ヒト配列番号)をAlaに置換(K599A mutation)したノックインマウスで、VWFは他の機能を残してGPIb結合能のみを完全に失う。次に野生型をCAST/Eiと雑種第一代(F1)からF2、C2、F3とCAST/Eiと交配させていくに連れ、VWF抗原量は野生型を100%としたときに342%、411%、419%、537%と増加することがわかった。一方、ADAMTS13ノックアウトマウスにおける血小板数はコントロールの52%と低下しており、この系がTTPを自然発症する系であることが示唆された。この後抗体5D2を10μg/gマウス体重あたりを各strain backgroundのADAMTS13-/-マウス尾静脈より直接投与、TMAに特徴的な所見(破砕赤血球、血小板減少、臓器機能障害などのみならず、各臓器(肝、腎、副腎、肺、小腸など)での血栓形成ならびに組織障害について、血液生化学的、凝血学的、あるいは組織学的変化を観察した。このことによりTMA発症に対する抗体の治療・予防効果を検討した。これまで、TMAの病態の本質であるVWFの血小板GPIb結合部位であるVWF Alドメインを狙ってVWFそのものを制御するという治療的試みはこれまで行われていない。一方抗VWFモノクローナル抗体は動物モデルにおいて広い安全域を有することが報告されており、TMA以外の血栓症においても臨床応用が期待されている。本研究ではVWFの血栓症発症における役割を病態的側面から再検討を行うことができた。
|