2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591111
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北島 健二 Osaka University, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (10346132)
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Keywords | ES細胞 / 血液細胞 / 転写因子 / 細胞分化 / エピジェネティック |
Research Abstract |
造血システムにおいて、特定の血液細胞系列に特異的に発現している転写因子の発現をコントロールすることにより、ある細胞系列の血液細胞から他の細胞系列の血液細胞へ分化させることができる例が報告されている。このような細胞の分化をコントロールする技術の開発は、再生医療で必要とされる細胞を、生体内に豊富に存在する細胞から自在に供給できるシステムの開発へと繋がるものである。そこで、我々は、赤血球の分化に必須な転写因子GATA-1、及び造血幹・前駆細胞の自己複製・生存に関与している転写因子GATA-2の血液細胞分化における機能解析を行い、細胞分化の制御技術の確立を目指した研究を行っている。その結果、マウス胚性幹細胞からアレルギー反応などに関与する血液細胞であるマスト細胞への試験管内分化誘導において、GATA-1・GATA-2と結合するFriend of GATA-1(FOG-1)を異所性発現させることによって、マスト細胞への分化を生体防御に関与する好中球への分化へとリプログラミングできることが明らかとなった。また、GATA-2の異所性発現は、ES細胞からマクロファージへの分化を巨核球(血小板産生細胞)へとリプログラミングできることを報告している。GATA-1を欠損した血液細胞(赤血球系前駆細胞)では、GATA-2の発現が亢進していることから、この細胞を利用し、GATA-2の標的遺伝子の探索を現在行っており、予備的成果であるが、クロマチン免疫沈降法により、GATA-2が結合している可能性の高い遺伝子を見出している。今後、FOG-1、GATA-2による分化系列決定のリプログラミングのメカニズムに関して、DNAのメチル化・ヒストンのアセチル化・メチル化など、エピジェネティックな変化をこれらの因子が誘導することによるものなのか、明らかにする予定である。
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