2007 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄造血幹細胞の末梢血への動員メカニズムにおけるPGE2の役割に関する検討
Project/Area Number |
19591112
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
片山 義雄 Kobe University, 医学部附属病院, 講師 (80397885)
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Keywords | 造血幹・前駆細胞 / PGE2 |
Research Abstract |
本研究では、サイトカインG-CSF投与によって骨髄造血幹・前駆細胞が末梢血に動員される過程において、プロスタグランディンE2(PGE2)が関与している可能性について検討している。まず、動員過程において、定常状態よりも過剰にPGE2を産生するために必須であるmPGES-1の遺伝子欠損マウス(C57BL/6に8世代戻し交配されている)と野生型C57BL/6マウスにG-CSFを投与したところ、成熟白血球数の上昇は両群でほぼ同じながら、未分化造血前駆細胞の動員はmPGES-1欠損マウスで低下している傾向が見られた。現在この現象を、ヘテロ欠損マウス同士の掛け合わせで生まれてくる兄弟内での野生型とホモ欠損型で比較し、先の現象が真に遺伝子欠損によるものかどうか確認中である。野生型マウスに動員をかけ、時間経過とともに骨髄中のmPGES-1遺伝子レベルを定量的RT-PCRで調べたところ、骨髄では殆ど変化がみられないものの、骨組織では若干の上昇傾向がみられた。現在、この傾向が有意なものかどうか検討中である。mPGES-1欠損マウスと野生型マウスに抗癌剤の5-FUを連続投与する骨髄抑制モデルでは、欠損マウスでやや生存率が低い傾向がみられた。これも今後各群の例数を増やして有意であるのか検討予定である。 この研究の発展で、G-CSFの動員メカニズムの理解が深まるとともに、PGE2やその受容体を標的とした造血制御剤の開発につながる可能性が期待される。
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