2008 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄造血幹細胞の末梢血への動員メカニズムにおけるPGE2の役割に関する検討
Project/Area Number |
19591112
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
片山 義雄 Kobe University, 医学部附属病院, 講師 (80397885)
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Keywords | 造血幹・前駆細胞 / PGE2 |
Research Abstract |
本研究では、サイトカインG-CSF投与によって骨髄造血幹・前駆細胞が末梢血に動員される過程において、プロスタグランジンE2(PGE2)が関与している可能性について検討している。H19年度には、動員過程において、定常状態よりも過剩にPGE2を産生するために必須であるmPGES-1の遺伝子欠損マウス(C57BL/6に8世代戻し交配されている)と野生型C57BL/6マウスにG-CSFを投与したところ、成熟白血球数の上昇は両群でほぼ同じながら、未分化造血前駆細胞の動員はmPGES-1欠損マウスで低下している傾向が見られた。H20年度では、この現象をヘテロ欠損マウス同士の掛け合わせで生まれてくる兄弟内での野生型とホモ欠損型で比較し、先の現象が真に遺伝子欠損によるものかどうか確認してみた。すると、先の結果とは反対で、遺伝子改変マウスでの動員効率が優る傾向にあり、この不一致は性別によりその傾向の強さに差があるためであるらしいことが示された。骨髄長期培養系におけるmPGES-1遺伝子レベルは、この系にG-CSFを加えることによっては殆ど変化せず、この長期培養系の造血支持細胞の半数以上を占めているマクロファージはG-CSFによって直接mPGES-1を強発現してくるのではないようである。現在、mPGES-1発現細胞としてマクロファージ以外に造血幹細胞ニッチのひとつとして認知されている骨芽細胞におけるPGE2の産生、または外部からのPGE2による骨芽細胞のニッチとしての機能変化について検討中である。また、当初の予定通り、PGE2受容体遺伝子欠損マウスの供与を受け、造血能の検討を開始したところである。この研究の発展で、G-CSFの動員メカニズムの理解が深まるとともに、PGE2やその受容体を標的とした造血制御剤の開発につながる可能性が期待される。
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