2007 Fiscal Year Annual Research Report
MDS/AMLの多段階発症・進展機構における、AML1遺伝子変異の役割解明
Project/Area Number |
19591114
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
原田 浩徳 Hiroshima University, 病院, 助教 (10314775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 結花 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (50379848)
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / AML1 / RUNX1 / 骨髄増殖性疾患 / 協調遺伝子変異 / Evi1 / 造血幹細胞 |
Research Abstract |
骨髄異形成症候群/骨髄増殖性疾患(MDS/MPD)では、高頻度に白血病への進展が見られ、この分子メカニズムの一端をAML1遺伝子の点突然変異が担っている。本研究では、AML1点突然変異および協調する他の遺伝子異常を共に造血幹細胞に発現させて、MDS/MPDからの白血病化の分子機構を明らかにすることを目的としている。 本年度は、AML1変異体および協調遺伝子変異体を組み込んだウイルスベクターを構築してヒト造血幹細胞に導入し、それぞれの幹細胞でin vitroでの増殖反応およびコロニー形成能などを検討した。まずAML1点変異および野生型、AML1-MTG8、SHP2変異、c-kit変異、JAK2変異、N-RAS変異、BMI-1、EVI-1などのcDNAを作製し、造血幹細胞にAML1変異体を導入するためのレトロウイルスベクタープラスミドpMXsに組み込んだ。これらには実験系によりFLAG、HAなどのタグやGFP、DsRedなどの蛍光、あるいはneo、puroなどの耐生遺伝子を付加した。まずマウス造血幹細胞にAML1点変異体を導入して移植する実験系では、長期観察期間中に高率に白血病の発症を認めた。これはレトロウイルスによる遺伝子導入の際にセカンドヒットとなる遺伝子(Evi1など)に組み込まれるためで、これらのマウスではEvi1の発現が亢進しており、実際にAML1変異体とEvi1を同時に導入して移植すると、白血病の発生は早くなった。次にヒト臍帯血由来造血幹細胞にAML1点変異を導入したところ、変異の種類により全く異なる増殖形態をとることが判明し、それぞれの変異を有する患者症例の臨床病態に一致していた。D171N変異体は、分化がブロックされて増殖も細胞死もしない状態となったため、他の遺伝子異常の獲得が必要と考えられた。一方S291fsX300変異体は、CD34陽性細胞が増加していったことから、変異体自体増殖能を持っていると考えられた。以上の結果を学会・論文等で報告した。来年度は引き続き協調遺伝子異常との共発現による造血幹細胞の動態を解析する。
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Research Products
(9 results)