2008 Fiscal Year Annual Research Report
MDS/AMLの多段階発症・進展機構における、AML1遺伝子変異の役割解明
Project/Area Number |
19591114
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
原田 浩徳 Hiroshima University, 原爆放射線医科学研究所, 講師 (10314775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 結花 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (50379848)
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / AML1 / RUNX1 / 骨髄増殖性疾患 / 協調遺伝子変異 / BMI-1 / 造血幹細胞 |
Research Abstract |
骨髄異形成症候群/骨髄増殖性疾患(MDS/MPD)では、高頻度に白血病への進展が見られ、この分子メカニズムの一端をAML1遺伝子の点突然変異が担っている。本研究では、 AML1点突然変異および協調する他の遺伝子異常を共に造血幹細胞に発現させて、 MDS/MPDからの白血病化の分子機構を明らかにすることを目的としている。 本年度は、昨年度に引き続きAML1変異体および協調遺伝子変異体を組み込んだウイルスベクターをヒト造血幹細胞に導入し、共発現による造血幹細胞の動態をin vitroでの増殖反応およびコロニー形成能などで解析した。 まずAML1点変異を導入した造血幹細胞の遺伝子プロファイルを作成し、 BMI-1の発現が変異体のタイプにより異なることを見いだした。D171N変異体では発現低下、 S291fsX300変異体では発現亢進していることから、造血幹細胞培養実験の結果はBMI-1の発現が影響していると予測された。ところが患者サンプルでは、 D171Nタイプの症例でBMI-1の著しい発現亢進が認められたことから、付加的にBMI-1発現が誘導されたと考えられた。 そこでD171N変異体およびBMI-1を段階的に共発現させたところ、増殖能が付加され、MDS病態を再現できた。 次にJAK2変異を有するMPD患者のCD34陽性細胞にAML1点変異を導入した。するとコントロールと比較して幼弱細胞の増加や自己再生能の亢進が認められ、 AML1変異体がMPD患者の白血病化開始因子であることが示唆された。以上のヒト造血幹細胞を用いた検討結果は学会・論文等で報告し、一部は現在投稿中である。
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