2007 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄不全症候群における自己免疫性造血障害の新規指標NKG2Dリガンドの臨床的意義
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19591119
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
川口 辰哉 Kumamoto University, 医学部附属病院, 准教授 (50244116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀川 健太郎 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (40322309)
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Keywords | 発作性夜間ヘモグロゼン尿症 / 再生不良性貧血 / 骨髄不全症候群 / NKG2D / ULBP / MICA / B / ナチュラルキラー細胞 |
Research Abstract |
骨髄不全症候群(BFS)と呼ばれる特発性再生不良性貧血(AA)、発作性夜間ヘモグロゼン尿症(PNH)および骨髄異形成症候群-不応性貧血(MDS-RA)の三疾患は、自己免疫による造血障害を共通の病態発生基盤に持つが、その分子機序については未だ不明な点が多い。我々は、PNHクローンが自己免疫の攻撃を回避して増大するメカニズムを解明する過程で、患者造血細胞に発現誘導されたストレス蛋白であるNKG2Dリガンド(ULBPとMICA/B)が自己免疫による造血細胞傷害を惹起している可能性を指摘してきた。本研究は、このNKG2Dリガンド発現が、PNHのみならず広くAAやMDSにおける造血障害発生に関して病的意義を有するか検証し、多症例の前方視的解析により、病態を反映した新しい臨床マーカーとしての可能性を追求することを目的に企画された。まず本年度は、AA47例、PNH19例、MDS-RA22例の計88例のBFS患者を対象に、顆粒球および骨髄細胞(同意患者のみ)におけるNKG2Dリガンドの膜発現をフローサイトメトリー法で解析した。さらに、一部の患者ではULBPの遺伝子発現レベルを半定量的PCRで解析した。その結果、いずれかのNKG2Dリガンドが発現する患者の割合は、AA60%、PNH58%、MDS-RA36%、全体で53%と、健常人の6%に比べて有意に高いことが判明した。この結果は、ULBP遺伝子の高発現からも裏づけられた。さらに解析可能であったAA5例、PNH3例、MDS-RA3例のCD34陽性骨髄細胞にも、いずれかのNKG2Dリガンドの膜発現が確認された。これらの結果から、NKG2DリガンドがPNHのみならず、広くBFSの造血不全病態発生に関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)